恋人と職を失った春人は、留美子の熟された体に衝動が止まらなくなり…
前回に引き続き、紹介するのは川奈まり子さん著『甘く匂う』(廣済堂文庫)。
恋人の真奈美だけではなく職までもを一気に失った傷心の春人に、助けの手を差し伸べてくれたのは、行きつけのキッチンバー・マルコの女主人、留美子だった。
しかも、留美子は職を世話してくれただけではなく、その熟れた身体で春人を――。
ワンピースを脱ぐと、留美子は優雅な流れるような動作で、それを拾いあげてスツールに掛けた。
スリップは太腿の半ばまでの丈で、脇に入った大胆なスリットからガーターベルトが覗いていた。
凝った下着の女性を、生で見るのは初めてだった。
たちまち激しくいちもつが熾ってきて、ズボンの上から位置を直さねばいられなかった。
留美子の全身をむさぼるように眺める。
留美子は、彼の視線をチラチラと意識しながら、スツールの角に片足を乗せた。
(中略)
飛びつきたい衝動を堪えながら、春人は、留美子は女として完成されているのだと悟った。
真奈美も美しかったが、留美子と比べるとどこか粗削りだった。
留美子はもう片方のストッキングも同様にして脱いだ。
今日も赤いペディキュアをしている。
手の爪は素のままなのに。あの爪先はふだんは誰にも見せないのだと思うと、そうした留美子の日常がエレガンスでありながら卑猥にも感じられて、昂奮させられた。爪先に口づけしたいとすら思った。
「留美子さん、僕もう待てない」
春人は言って、シャツを脱いだ。留美子に見惚れたまま、素早くブリーフ一枚になり、ベッドカバーを捲った。
「留美子さん、早く」
スリップを肩から滑り落として、留美子がベッドに上がってきた。
髪を掻きあげて、間近でブラジャーを外す。
ブラカップが浮きあがり、雪白の豊乳が弾んだ。
春人は待ち切れず、すぐに両手で揉み寄せて、左右の頂に交互に口づけを降らせた。
芳しい肌の香りが鼻孔に広がり、指先が果てしなく沈んでいきそうに思えるほどの、嘘のような柔らかな感触と相俟って、雄の本能を焚きつける。
「ああっ……春人くん、おっぱい、もっといじめて。吸ったり噛んだりして……」
(『甘く匂う』P58L7-P60L2)
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