女の独占欲に振り回される少年

 父の再婚者の、若く美しい義母・映美里に育てられている宗介の元に、ある日、実母の小夜子から十二年ぶりに連絡が届いた。
再会を果たした小夜子に、宗介は一緒に暮らすことを提案される。
父の助言もあり、お試しで夏休みのひと月を実母と暮らすことになった宗介だったが、懐かしい母のぬくもりを味わっているうちに、ついエスカーレトして身体の関係を結んでしまう。
一方、映美里もまた、実の息子のように宗介のことを思っていた。
が、一時帰宅した際に、宗介と小夜子の関係を知り嫉妬を覚え――。

「ンくッ、はぁ、義母さん。あっ、あの、僕……」
「なにも言う必要はないわ。宗くんは、気持ちよくなることだけを考えて。さあ、もう一度、義母さんのところに戻ってらっしゃい」
 実母との関係を告白した直後だけに、さすがに息子の顔には若干の戸惑いが浮かんでいた。それに対して映美里は、精一杯の愛情を宿した瞳で宗介を見上げ、細指でユルユルとペニスをさすってやった。すると驚くほど素直に鎌首が持ちあがってくる。
(あんッ、凄いわ。どんどん硬く、大きくなっていく。それに、亀頭が膨らむと、それに合わせてエッチな匂いも漂ってくるみたい)
 ダランと垂れさがっていた淫茎が、四十五度、九十度と亀頭の角度を変え、ついには下腹部に張りつきそうな勢いを取り戻した。
「あぁ、義母さん……」
「あぁん、宗くんのオチンチン、とっても大きくなったわ。凄く逞しくて素敵よ。すぐにもっと気持ちよくしてあげるわね」
愉悦のうめきを漏らす息子に、義母がクールな目元を悩ましく細めた。右手を硬直の根本に這わせ、肉厚な朱唇を肉竿に近づけていく。
「チュッ、ペロ、ペロ、れろ~ン……チュッ、チュパッ……」
 亀頭裏に軽く口づけをし、すぐさま舌を突き出すと、誇らしげに裏筋を晒す肉竿を、舐めあげた。さらには、顔を横に傾け、横笛を咥えるように充実した竿を唇に挟みこむ。そのまま強く吸いつくようにして、根本から亀頭直下まで万遍なくキスしていく。
(中略)
「うはぅ、あぅ、ああ、義母さん、くうぅ……」
「ンぅん、宗くんのオチンチン、本当にとっても逞しくなってる。小夜子さんがこんなふうに成長させたんだと思うと、義母さん、悔しいわ」
「義母さん」
「だから、もう一度、小夜子さんから宗くんを奪い返しちゃうんだから」
(『実母と義母の誘い ふたりの母』P164L5-P166L1)

 母が息子を恋しく思う気持ちがわかるからこそ、自分の寂しさは押し殺し、宗介の背中を押して、実母の家へと送り出した義母の映美里。
が、小夜子が実の息子である宗介と性的な関係を結んだと知り、激情に駆られます。
このままでは、宗介が取られてしまうかもしれないという危機感と、先駆けされた嫉妬。抑えこんでいた欲望と女としての対抗心。
本来ならば、道ならぬことであると宗介を叱り諭すのが親としての勤めであるにも関わらず、映美里もまた、張り合うようにその肉体を投げ出し……。

 牡の本能に振り回されてしまう息子を受け止める、行き過ぎた母性に、一番でいたいという女としての欲望が絡み合い……
本作で提示されているのは、相手をまるごと包み込むことで、嫉妬を解消していく、女性ならではのこってりとした愛情。
が、しかし、バカだから犬だから、と諦めて包み込むべきが母性だと言われても、わたしはまだ、そこに抗いを捨てきれずにいます。

Text/大泉りか