こんにちは。月曜朝から申し訳ないが、わしはセックスの真実を追及し続けているジョージ博士だ。前回のVol.1古代インド発祥の性の経典『カーマスートラ』は楽しめていただけただろうか? イラストに面食らわれた方も多かったようだな! こんなの序の口じゃぞ。
今回は古代ギリシャにスポットをあててみよう。現代のギリシャは、世界1位の年間セックス回数164回(※1)を誇る、すっばらしい国だ。ユーロ圏離脱が取りざたされているが、セックスに関してだけいえば、地球一の望ましい理想的な場所ともいえるだろう。
古代ギリシャの“どろどろ”した世界
ギリシャと聞いてイメージするのは、真っ白な家に白い彫刻! ではないだろうか? とってもシンプルで清潔な雰囲気じゃな。
おそらくこの日本人に深く浸透しているギリシャの印象は、「アポロン的世界」であろう。アポロンとは太陽神。知的で健康的、文化活動にも積極的な極めてすっきりさっぱりとした世界じゃ。
しかし、実はギリシャの古代美術に関しては、派手な色合いを持ち、たいそう性的でグロテスクなものも多いんじゃ。それらはいわゆる「ディオニュソス的世界」だ。ディオニュソスとは、ギリシャ神話で言えばぶどう酒の神であり、信仰の対象でもある。こちらは、陶酔や情動、官能や肉欲などどろどろとしたものがうずまく深淵な世界なんじゃ。異端、陰鬱などという言葉でも表現されるな。なぜか日本では避けられがちな世界観なんじゃが、アポロン的世界より、ディオニュソス的世界の方が生きていくということにおいては重要なんじゃないかとわしは思うがな。
まあそんなことはさておき、そのような世界観を持つ美術とは、いったいどんなものかというと、たとえば神殿の入り口にそそり立つ大きな男根の像だったり、男根をかたどったランプだったりする。どんな経緯でこれを飾ることになったのか!? と問い詰めたくもなるが、わしらと彼らでは、一見グロテスクな性のイメージの捉え方が大きく違うんじゃよ。
ディオニュソス的世界では乱交=豊穣多産祝い!?
わしらといえば、性的なイメージがそこにあれば絶対にいやらしい想像をする。反対に汚らわしい! というような反応をする女性もいるじゃろう。ところが、彼らにとって、性とは、豊かなことの象徴であったり、神聖なものであったりしたのじゃよ。それを現すものとして、ひとつ有名な赤像式杯という壷がある。それは、古代ギリシャの陶器を多く所蔵するルーブル美術館の中でも一際目をひくもので、ひとりの娼婦をふたりの男が犯すなど、何組ものカップルが乱れ狂う様子が描かれたものなんじゃ。そのどろどろ加減に初めて見た人はびっくりするじゃろう。しかしこれは、豊穣多産に関する宗教儀礼の一場面だろうといわれておる。ちょっと乱暴だが、神公認の乱交ともいってよいだろう。そして、このような性的な絵柄はこの壷以外にも、同性愛シーンや神様とセックスしている場面のものなどがいくつもある。これらは何かのお祝い事の際などに、割とカジュアルに恋人同士で贈りあったりしていたそうじゃ。そんな世界では“下ネタ”なんて存在しなかったんじゃろうな…。
まあ話を戻すと、これらはディオニュソス信仰が大きな影響を与えていて、彼らの儀式では集団的狂乱と陶酔が欠かせないのじゃ。理性による束縛や、社会的なルールから自我を解放することが信仰のメインでもあるからのう。乱交が繁栄祈願や神聖な儀式につながるとは、現代の我々にはとてもついていけない話だが、そのくらい自由な方が確かに生産性はあがるのかもしれんな。
ギリシャ人のDNAに受け継がれる大らかなセックス観
わしは、やはりこのような性に関する自由奔放な考え方の土壌があるからこそ、ギリシャの人々は何のためらいもなく日夜セックスに励むのではないかと考えている。仕事がお昼すぎには終わるなどストレスの少ない環境も間違いなく影響しているが、そもそもの意識の問題なのかもしれん。ギリシャ神話の主神ゼウスが大の女好きだというのは有名な話じゃ。年間48回(※2)と世界で一番セックス回数が少ない日本人は、ゼウスの雷にでも打たれて多少意識改革をした方がいいかもしれんな。今回は以上じゃ。
※1 ※2
デュレックス セクシャル ウェルビーイング グローバル サーベイ2007調べ