昔の男が彼氏とヨーロッパで結婚式を挙げた。流行りのデスティネーション・ウェディングである。
招待されなかった自分は楽しそうな写真を眺めながら複雑な気分になっていた。
他人の不幸が蜜の味なら、他人の幸せはビタースイートな蜜の味だ。
お揃いのタキシードと蝶ネクタイでキスする姿を少し羨ましく思いながら、改めて結婚というものを考えてみた。
こんなにお金を使って、ヨーロッパにまで家族と友達を招いて、大勢の前で永遠の愛を誓うという行為にはどれほどの価値があるのだろうか。
永遠に残るものはない残酷なリアリティの中で、結婚には未だにファンタジーが残っている。
全く信じていなくても、人前でお互いを見つめ合いながら大袈裟に死が二人を分かつまで愛し合うことを誓えば、もしかしたら永遠に辿り着けるかもしれない。
そんな夢の上で巨大なブライダルビジネスが成り立っている。
大金を注ぎ込んだ結婚式を挙げてしまえばそう簡単には破局できない。
別れたくなったところで離婚という複雑なプロセスが待っている。
永遠の愛という夢は叶わなくても、結婚は間違いなくお互いから逃げにくい環境を築いてくれる。
もちろん、これは全部私の勝手なイメージである。
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