シャワーで綺麗さっぱりして、キッチンで乾いた喉を潤しながら、改めてバイブレーターのことを考えた。
「どうして今まで使わなかったんだろう?」変化を恐れるようになったのか。他人に変態だと思われるのが恥ずかしかったのか。フツーでバニラな毎日の方が居心地がよかったのか。
答えはそう簡単には出てこないが、十分に一皮剥けた気分だ。今ならフィストファックも…いや、それはまだちょっと早いかもしれない。
ベッドルームの掃除を終えた彼もキッチンにやってきた。
「ねぇ、バイブと俺、どっちが気持ちよかった?」
と、真顔で聞いてくるので。
「バイブ!」
と、二つ返事で答えた。
だって、恋愛の秘訣はオープンコミュニケーションでしょ。
少ししょんぼりする彼に「そういえば、バイブどうしたの?」と聞くと、「見てないけど?」と困った顔で言う。
まだ一回しか使ってないのに、失踪させてたまるかと家中を探した。
お尻の中に入ったままというベタなギャグはまずないとして、ベッドルームにもシャワーにもない。そこで洗濯機が回る音が聞こえて、「まさか!」と思って中を覗くと、バイブはタオルに混じって綺麗に洗われていた。
濡れ濡れのバイブを取り出して、スイッチを付けるとまた元気に震えだした。
これが彼氏の天然ボケの仕業なのか、それとも自分の立場をバイブレーターに奪われたくないという嫉妬心なのか、あたしにはわからない。
ただ一つ確かなことは、近いうちに彼がおとなのおもちゃ屋さんへショッピングに連れて行かれるということだ。
さぁて、次は何に挑戦しよう!
Text/キャシー