朝から結城みさの引退作を見て泣いていました。何をやっているんだと、思われるかもしれませんが。
無心で泣いていると、ひょんなことが頭に浮かぶもので、猫のことを考えていました。
最初は平等に可愛くて貴重な存在でも、すぐにそこらの猫と同じくらい大きくなってしまって、それでも可愛いけどね、なんて思いながら、居ることが当たり前になったその猫と生活を重ねていくうちに、性格や個性がわかってきて、小さかった頃に感じていたものとは違う愛着がはっきりと芽生えます。それって少しAV女優みたいです。
普通の女の子がAVに出演して、それだけで貴重な存在だけど、次第に大勢いる女優たちに紛れていって、それでも不貞腐れずにAV女優として生きていくうちに、その人だけの個性や深みが出てきて、そしてファンにとって唯一のAV女優になっていきます。
きちんと引退作まで全うする女優さんは、最後の日に何を思うのかな、といつも考えます。
結城さんが引退作を撮影し終えて、バスローブのまま駆け抜けてきた道を振り返った時、その姿があまりに美しかったので、映像を観ている私も一緒に泣いてしまったのです。
AV女優、最後の日
私が彼女を初めて観たのは『素顔 春原未来 結城みさ』という作品でした。スポーツのように撮影をこなすストイックな春原未来が、実は苦手なレズプレイを克服するという内容です。その手助けをしていたのが、結城みさでした。
圧倒的な母性で包み込むように、手を繋いだり、見つめ合ったりするだけで、見事にレズ嫌いを克服させていきます。最後に心から絡み合った後、結城みさを見つめる春原未来の瞳は、教祖を見るようにキラキラとしていました。
結城さんは「美魔女」です。一般的な意味でもそうですし、共演者をはじめ、周囲の人を虜にする速さ、強さは、魔女としか思えません。彼女が魔女だと気づかれないのは、美しいからではないでしょうか。
そして千本近くの作品に出演してきた彼女の引退作を、盟友・川上ゆうが監督しました。それだけでAVファンの目頭は熱くなりますね……。三時間にわたる引退作で、最も印象的だったのが、結城みさの言葉責めを活かしたプレイです。
川上ゆうが手配したのは、以前も結城みさと絡んだことがあるM男性でした。
突然の再会に顔をほころばせたのも束の間、彼女はすぐに淫靡な目つきになり、最近したプレイを聞き出します。耳まで真っ赤にしながら小さな声で「乳首責め」と答えた男性に、ひとりプレイで再現させるのです。
結城みさはそれを「恥ずかしいね」と言葉責めしながら見守るだけ。それだけで、まだ触っていない男性の下半身は、女の子のようにパンツまでびしょ濡れになっていました。
それから徐々に、自分でしごくことを許可したり、乳首をつねってあげたり、唾液をプレゼントしたり……ようやく結城みさの手で男性器が握られたときの興奮たるや!女の子のように喘いでいる男性が、そのまま果ててしまうかと思ったほどです。
ご褒美とばかりに結城みさが手でしごいてあげると、いままで見たことがないような大量の精液を飛ばして、ついに男性は絶頂しました。それを本当に嬉しそうに、よだれを垂らしながら見守っているのです。
見どころがたくさんある本作ですが、特筆すべきは、彼女が共演者にとても愛されていたことだと思います。監督である川上ゆうと、お揃いのワンピースで絡み合う姿は、激しいプレイはないけれど情熱的ですし、お互いに舐め合いながら痙攣して、見つめ合って涙する姿は忘れられません。
撮影前に女優さん達が現場に駆けつけてくるシーンでは、涙でほとんど話せなかった素の芹沢つむぎが、どの作品で見るよりも可愛かったです。
最後は風間ゆみや北条麻妃など、名だたるAV女優をはじめ、監督だけでなく、メイクさんやADさんからのビデオメッセージも収録。
遅いデビューで、最初は名前も出してもらえない作品からのスタートだったという結城みさ。AV女優最後の日は、バスローブを着て、花束を抱え、たくさんの共演者とスタッフに囲まれながら笑い、涙していました。
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