女性向けAVで何が起きている?
私は女性向けAVが苦手ですが、それはAVを「オナニーのための映像である」と認識していたせいだとわかりました。女性AVは抜きどころがわからないので、毎度モヤモヤしていたのです。
この連載を始めて、嬉しいことに男女どちらからも声をかけていただくことが増えました。男性からは「途中でヌいてやる気なくなりそうな仕事だね」と、あられもない意見を、女性からは「女性向けAVが、どういうものか知りたい」という意見を、よくいただきます。
男性は「好みのAVじゃなくてもオカズになる」と言い、女性は「出演している男優さんが格好いい」と言うのです。私は出演者よりもプレイ内容を重視して、とことん自分の趣味嗜好に沿ったAVを探すため、どちらの意見にもしっくりきていなかったのですが、繰り返し聞くたび、男性はオカズ、女性は癒し(トキメキ)をAVに求めていることがわかってきました。
なるほど、女性向けAVはオカズとして作られていなかったのか……。キモメン男優好きにはわからなかったよ……。ようやく前提を理解したところで、今回は女性向けAVがどんな内容なのかを報告したいと思います。
SILK LABOと鈴木一徹の2009年
2009年に人気女性誌「an・an」の名物企画であるセックス特集で、付録のDVDを監修したことから、女性向けAVメーカーSILK LABOはスタートしました。同時期にリリースした初期作品には、現在も変わらない人気を誇る鈴木一徹さんが出演しています。AVに疎い方でも、一度くらいは名前を耳にしたことあるんじゃないでしょうか。
「SILK-ファインダーの向こうに君がいた-」は、恋人(鈴木一徹)とのセックスでオーガズムを得たことがない主人公が、カメラマン(月野帯人)とのセックスでオーガズムを覚え、恋人とのセックスでも満足できるようになるという話です。
主人公の女性が、強引に連れて行かれたカメラマン宅の湯船で「私、何やってんだろう……」と呟いて、お湯に沈みぶくぶくしているのを見て、過去に一度今作を観ていたことを思い出しました(しかもAMの企画で)。
女性向けAVは、とにかく前戯が長いです。前戯と言っても、男性向けのAVと違って、体の変色した部分(乳首とか)には、あまり触りません。時には挿入もなしです。男性向けAV脳の私は、ここで混乱してしまいます。
男優さんはどちらも端正な容姿で、いずれも細マッチョです。現代的イケメンなのです。恋人の仕事が忙しくて寂しかったから…という理由で、主人公とそれぞれのイケメンとのセックスが許容されている点が、トキメキポイントなのかもしれません。
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