日本を代表する監督陣が「ロマンポルノ」を手がける「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」。
その中の一人、11月26日公開『ジムノぺディに乱れる』の行定勲監督と、漫画家・峰なゆかさんとの対談を開催!
作品のこと、そして日活ロマンポルノのことを語り合っていただきました。
『ジムノぺディに乱れる』あらすじ
映画監督の古谷は、肌のぬくもりを求めて女たちの隙間を彷徨っていた。仕事、名声、そして愛。すべてを失った男が、辿りついた先に見つけたものとは?
「悩めるオッサン」の魅力
―まずは本作を観てのご感想をお願いします。
峰さん(以下M):私、もともと板尾創路さんが男性として大好きなんですよ。小学生くらいの頃から「この人、エロいな…」と思ってました。
そんな板尾さんの濡れ場がたくさん観られて、すごく満足しました。
行定監督(以下Y):良かった、板尾さんをキャスティングして(笑)。
―そんな板尾さん演じる「古谷」が、たくさんの女性と交わりますが、お金もない、仕事もない、いわゆる「ダメ男」じゃないですか。それなのに、なぜ惹かれてしまうんでしょうね。
M:え、あんなに苦労してる映画監督なんて、モテるに決まってるじゃないですか!?
Y:さすがですね。そう、モテるのは当たり前なんですよ。
達成できないことがあったり、何かに抗おうとしてる男の周りには「自分が何とかしてやろう」という人が集まるんですよね。
―母性本能をくすぐられるんでしょうか?
M:そういう「悩めるオッサン」に引き寄せられる女子は、「私が癒してあげたい」っていうより、「病気に巻き込んでほしい」と思ってるんですよ。「生活が物足りない」みたいな闇を抱えている女子が、古谷みたいな映画監督に惹かれていくんじゃないかなと思います。
Y:「悩めるオッサン」か~。俺もオッサンと呼ばれる年齢だから、ちょっと傷つくよね(笑)。
M:本当は「メンヘラおじさん」って言いたいところを、柔らかくして「悩めるオッサン」って言い換えたんですが…。
Y:「メンヘラおじさん」はもっと落ち込むよ(笑)!
―そんな古谷の役柄が、板尾さんの雰囲気とすごくマッチしていましたよね。
Y: 板尾さんと初めてお会いしたのは、釜山国際映画祭の懇親会でした。TVで観る板尾さんとは全然違い、隅っこのほうでひざを抱えながら、少年のような笑顔で映画の話しに相槌を打ってるんです。質問すると「そうですね~」「映画って難しいですね~」なんて答えてくれて。その曖昧な言葉の中に、全てがあるような気がするんです。
板尾さんが帰ったあと、板尾さんを知らない外国の女性も「あの人かっこいい!」と言ってました。
M:やっぱり、「古谷」は板尾さん以外の俳優が演じるのは、難しいかもしれないですね。「え、なんでこの人モテるの!?」って思っちゃいそう。
Y:それはその通りで、他の方が演じると、キザになっちゃうかもしれないですね。
―古谷のような映画監督は実在するんですか?
Y:います。女優からスタッフまで、色んな女性の家を渡り歩いて、「自宅に帰るまでに一週間かかっちゃった」なんて監督、昔はよくいたんですよ。
でも、服にも無頓着だし、無精ひげだらけだし、カッコイイわけじゃない。
M:古谷も、寝た女性の彼氏のTシャツ着てましたね。「似合ってないな~」って、すごく笑いました(笑)。