第16回 セックス問題に真剣なアメリカと、セックスレスでも気にしない日本
セックスのとき、気になるのが腟まわりのこと。ゆるみや不快感があるとセックスを思う存分楽しめないことも……。
そんな腟まわりの医療や知識について、日本はどれだけ認知が進んでいる? 世界と比べると日本のセックス事情は遅れているの? そんなワールドワイドな質問を、医学博士で女性泌尿器科専門医の関口由紀先生にぶつけてみました!
(前回の「45歳が生涯現役の分岐点!?女医がすすめる腟アンチエイジング方法」も合わせてどうぞ)
<関口先生の解説>
「腟まわりにまつわる医療がもっとも進んでいるのは、やはりアメリカでしょう。
ラブグッズの開発や、セックス関連の医療も、おそらくアメリカが一番進んでいるのではないでしょうか」
アメリカでは、FDA(アメリカ食品医薬品局)が認可しないと正式な医療や治療として認められませんが、セックスの質を向上させる治療に関してはオフラベルといって、いわゆる保険適用外の治療が多く存在しているそうです。
どうして、アメリカはセックスに対しての取り組みが真剣なのでしょうか。
その理由は以下のような事情が考えられているそう。
<関口先生の解説>
「例えば、腟(性器まわり)にトラブルがあることで、性交痛がある、あるいはセックスそのものが苦痛になるなどから、セックスレスになってしまう可能性があります。
セックスレスになると非常に問題です。
なぜならアメリカではそれは、立派な離婚原因になりえるからです。
セックスができない(または回数が少ない)夫婦は、健全な営みができないこと。すなわち夫婦間に問題があり、それは離婚原因として成立してしまいます。
『自由の国』と呼ばれるアメリカですが、中には敬虔なキリスト教信者も少なくありません。セックスに対しても厳しい戒律があります。
仮に夫婦間でセックスレスになった場合、その欲求を婚姻外で求めるなんてもってのほか。婚姻外のセックスは、彼等にとって死罪に匹敵するほどの重罪なのです。
もちろんアメリカの人が皆、そのように考えているわけではありませんが、実際にアメリカの離婚原因に『性の不一致』が挙げられています。ですから夫婦関係に危機をもたらすセックスレスに対する取り組みは、日本よりも真剣です。
なお日本では、セックスレスの夫婦は珍しくもなく、回数が減ったからといって、いきなりパートナーから離婚を突きつけられることは少ないでしょう。
セックスレスが大きな問題にならないのは、プライベートな問題で、顕在化しないことも原因のひとつだと思いますが、往々にして日本の方がセックスに対して関心が薄く、問題への取り組みが遅れているのも事実です」
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