10万のハサミでベリーショートに
ある時、彼は「髪の毛を切ってあげるよ」と言い出しました。
セックスフレンドという関係性だけでは味気ないと、彼なりに気を遣ってくれたのでしょう。大変ありがたい申し出ですが、筆者は丁重にお断りしました。と言うのも、筆者には行きつけの美容院があり、髪の毛は担当美容師に任せたいという事情があったのです。
髪の毛って、行きつけの指名美容師以外に切ってもらうのは、けっこう身構えてしまうものじゃないですか。
カットの申し出を断ったところ、彼は予想外のことを言い出しました。
「上の毛がダメなら、下の毛を切らせろ」と。
今でこそパイパン歴9年目の筆者ですが、この頃はナチュラルに生やしておりました。
今でこそパイパンって珍しくもなんともないですが、当時は未だエステの永久脱毛やブラジリアンワックスが浸透していなかった時代です。アソコの毛をカットするという行為は、かなりハードルが高いものでした。
ハードルが高い行為ではありましたが、なんだかんだでオッケーし、股を開いた筆者。
いま思えば彼は、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックという心理効果を使ったのかもしれません。
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックとは、真の目的を達成するために、まず真の目的よりもハードルの高い要求を突きつけます。当然、相手は断りますよね。そのうえで、改めて本来の要求を出すやり方です。
相手は、最初の要求を断った手前、「ハードルが下がった要求くらいは受け入れねば」という心理に陥ります。
デパートの店員さんがしょっちゅう使う手法ですね。最初に、客が断るのを想定したうえで5万円の服を勧め、断られてから改めて3万円の服を勧めるやり方です。
店員さんは、はなから5万の服など売る気はなく、3万の服を売るのが目的だったということ。
彼も、筆者の上の毛なんぞどうでもよく、最初から下の毛をカットすることに照準を合わせていたのかもしれませんね。策士じゃのぅ。
冗談はさておき(笑)、さすが美容師! 下の毛カットの腕前は、かなりのものでしたよ。
本人いわく、10万のハサミで仕上げられたベリーショートの陰毛は、チクチクすることも一切なく、非常に見事な仕上がりでした。