ラブグッズはヒステリー治療として生まれた!?ほんまか?/BETSY

ヒステリー治療でバイブ?あやしすぎないか!?

みなさんは女性用のラブグッズが「ヒステリー」の治療に使う医療機器として生まれたという話を聞いたことがありますか? 2011年に公開された映画『ヒステリア』では、ヴィクトリア時代の医師グランヴィルが、ご婦人たちの「ヒステリー」を治すために電動の機器を発明したのがバイブレーターの誕生秘話だとして話題になりました。

映画の中では女性の社会進出もテーマのひとつになっていたこともあり、評判もよかったようなのですが、私の第一印象は「その話、あやしすぎじゃないか?」でした。

というのも、もともとは「ヒステリー」治療のために医師が手技で女性をオーガズムに導いていたという点に疑問があったからです。それって言葉を選ばずに言うと手マンですよね。医師が患者への手マン治療をしすぎて腱鞘炎になってしまったから電動のマシーンを発明したというんですよ。治療とはいえ、医師が患者に手マンするっておかしくないですか?「ふむふむ、なるほど。わけもなく涙が出るんですね。わかりました。じゃあパンツ脱いで診察台に上がってください。手マンしますね」って本当かよ……。

調べてみました

ということで、調べました。結果から言うと、やはりガセネタです。そもそも映画のネタとなったのは1999年に出版された『The Technology of Orgasm』(レイチェル・メインズ著)なのですが、セックストイで博士号を取得した歴史学者のハリー・リーバーマンらによって、医師が手技や機械で女性をオーガズムに導いて治療していた事実はなかったと学術的に否定されています。
メインズ本人も確固たる証拠は見つかっていないこと、仮説のひとつにすぎないと認めています。

映画の主人公となったグランヴィルが医療現場で電動バイブレーターを使っていたのは事実のようですが、実際には便秘、腰痛、糖尿病などさまざまな疾患を治療する器具として使用していたそうです。
かなり大きな機械だったこともあり、主に体の大きな男性の治療に使われており、女性の性器には使用しないとグランヴィル本人が明記しています。

映画のネタとしては「女性用のバイブレーターはもともと医療機器だった」「医師が患者に手マンして疲れたからバイブレーターを作った」の方がおもしろいのかもしれませんが、明確に間違いだったと分かっていることが今でも事実のように性界隈で語られているのはちょっとモヤっとするものがあります。