みのりさんが核心に迫る

「ねぇ、晴美さんといつ別れるの?」
「えぇと……、まだよく分かりません……」
「もしかして、実は仲がいいって話?」

 これはもうバレてる。

「はい……、そうですね……」
「じゃあ、私と付き合わないってこと?」

これには黙り込んでしまった。完全に自白したようなものである。すると、彼女は鬼の形相になってこう言ってきた。

「ニノミヤさん、あそこの歩道橋の上に登り、スピードの出ているトラックとかに撥ねられて死んでください。私、ここで見ておきます。早く行ってください」

そう言って彼女は歩道橋を指さした。僕は「ごめんなさい……」と言うも彼女は「早く行ってください!」と言うだけである。当然この要求に従うことはなかったが、6回のセックスのために1人の女性の心をもてあそび、2人の女性を裏切ったことは僕にとっては猛反省の経験となった。

以後、僕は相手がいるときは明確にそのことは明かすようになった。そしてみのりさんが結婚した後に謝罪のサシ飲みをしたが、このときは「私もあのときは言い過ぎました」と言われ、以後我々は飲み友達関係を継続したのであった。

Text/中川淳一郎