何かとモヤモヤする原因は、諸々総額8万円也というお値段の高さよりも、“伝統、歴史、銀座=アルマーニ”という発想の安さだろう。
とある小学校の制服騒動、その感想である。
まあ、あれほど、
「ウチの学校は特別!」
「○○らしさとは!!」
などとお高くとまり、“ざーます感”を醸し出せば、今の御時世、人々の反発を一通り買ってしまうのも仕方がない。
仰る通り、立地や歴史など特別な背景を持ち、名門の自負、誇りがあるのだろうが、どうせなら、
「我が校の名前が刺繍されていれば、ボロ雑巾でもブランドです!」
ぐらい言い放って頂いた方が気持ちが良い。
そもそも、“公立”である。
校長自ら、学び舎に通うためのハードルを上げて胸を張るのはズレているし、何より、大人達の自己満足に巻き込まれる子供達が気の毒だ。
「ねーねー、キティちゃんのやつ、おふろにいれたらだめだよね?」
先日、風呂場の脱衣所で、娘が僕にせがんできた。
5歳の彼女にとって唯一無二のブランドと言えば、目下サンリオをおいて他には無い。
“キティちゃんのやつ”とは、水中メガネのこと。
アイカップの目尻の部分に、キティのイラストが小さくあしらわれたゴーグルで、普段は水泳教室で娘の目を保護しているが、今日はお風呂で使いたいとのこと。
“風呂をプールに見立ててワクワクする”というのは、誰しも覚えがあるミニコント。
水中メガネ姿で、僕の前にチョコンと座り、シャンプー待ちしているのには、
「洗い辛いから外しなさい!」
と流石にNGを出したが、湯船で使う分には、別段禁じる理由もない。
オッケーである。
余談だが、最近娘は、“~したらだめだよね?”と持って回った言い方をすることが多い。
「いや、駄目なのはちゃんと分かってますけどね?」
「一応確認の意味で聞くだけですよ?」
妙に、此方の顔色を窺うような物言い。
子供らしくなく、僕は嫌いである。
「も―ちゃん、そういうときは、“~して良い?”って普通に言いなさい?」
と諭すと、
「だってー、ママにおねがいすると、いっつもすごくこわいからー!」
とケタケタ笑いながら事情を話してくれた。
早くも予防線の張り方を会得しているとは……勉強になる。
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