数珠の交換の3ヶ月後、即身仏になった女子

 ゼクシイ的なあれこれに興味のない私だが、「これはぜひ出とかんと!」と勇んで出席した結婚式がある。
数年前、元同僚女子がお坊さんと結婚して、仏式の結婚式に招かれたのだ。

 仏式は日本の結婚式のわずか1%らしい。
周りを見ても、仏壇よりクリスマスツリーの所有率が高く、「ハワイの教会で式を挙げた」「遺灰はハワイの海に撒いてほしい」と言う人も多い。ハワイの皆さんも「冠婚葬祭ぐらい自分の国でやれよ」と思ってるんじゃないか。

 結婚式当日、寺のお堂に入るとお坊さんたちがギッシリ並んでいて、坊満感を感じた。
ポクポクと木魚サウンドが流れる中、袈裟姿の新郎と白無垢姿の新婦が入場。

 それから出席者全員で讃美歌ではなくお経を読み、新郎新婦による数珠の交換が行われた。
となりの友人と「あの数珠ナンボぐらいするんやろか?」と金の話をしているうちに、式は終了して、その後は披露宴へと移動。

 披露宴は有名ホテルの大広間で行われた。天井のシャンデリアがお坊さんたちの頭にキラキラ反射して「目が~目が~!」とムスカ状態に。
が、つるっぱげ率が高い以外は、普通の披露宴と特に変わらなかった。

 ファーストバイトも乳粥をすすらせるなど仏教っぽい演出はなく、普通にケーキを食わせていた。

 ちなみに私はこのファーストバイトが一番恥ずかしい。
口の周りに生クリームのついた新郎のテヘペロな表情を見ると、恥ずかしすぎて銃を乱射したくなる。
なのでもしファーストバイトをやらなきゃ殺すと言われたら、「金魚を飲みこんで出すから許してくれ」と頼むつもりだ。

 人間ポンプはさておき、披露宴ではダライラマっぽい徳の高そうなお坊さんが「人と人を結ぶ因縁とは…」とスピーチ(というより説法)を聞かせてくれて、つい合掌しそうになった。

 にもかかわらず、その夫婦は3ヶ月で離婚した。
あまりにスピーディーな展開に驚きつつ「あの数珠はやっぱり返すのか?」「あれナンボぐらいしたんやろか」と友人と噂しあったもの。

 離婚後、元同僚女子に会うとストレスで激痩せして、即身仏のようになっていた。

 離婚原因は夫のマザコンらしく「彼は何もかも母親の言いなりで、お母さんの言う通りにしないと怒られて、私の意見なんて一切聞かなくて…」という話に「こう言っちゃなんだけど、結婚前にわからなかったの?」と聞くと「出会って半年で結婚したから、焦りすぎたと思う…」とうつむく彼女。

 たしかに、彼女は「このままじゃ結婚できないかも?!」と焦りまくっていて、「占い師に『彼とは相性抜群、今年中に結婚した方がいい』と言われたから」と言って、出会って半年で結婚を決めた。
つまり、タラレバ病とスピリチュアル病を併発していたのだ。