拙者がズベっていた理由

 前回の「2兆円とパートナー、どちらを選ぶ?」にツイッターで様々なコメントが寄せられた。

「迷わず2兆円!」という意見が多かったが「パートナーを選ぶ」という意見もあった。
「私も一人暮らしは向いてなかった」という意見もあれば「一人暮らしが寂しい人の気持ちは全く分からない」「むしろ他人と暮らす方が苦痛」という意見もあった。

 世の中にはいろんな価値観の人がいて、多様な生き方が尊重される社会であるべきだ。
七五三に千歳飴じゃなくゴボウをぶら下げてもいいじゃないか。ゴボウはいざという時に武器にもなる。

 1人暮らしが全く向いてなかった私は、一緒に暮らすパートナーが必要だった。一緒に暮らすだけなら女友達でもいいが、私はなにより“一人寝”が辛かったのだ。

 毎晩ベッドで1人で寝ていると、寂しくて死にそうになった。かつての拙者がズベっていたのはセックスがしたかったからじゃなく、一緒に眠る相手がほしかったからだ。
メンヘラみ溢れる発言だが、毎晩一緒に眠る夫を確保したことで、我がメンはようやく安定した。

 なぜこんなにも一人寝が苦手なのか。ひょっとすると、三つ子の魂百までなのか。
私は男女の双子として生まれ、赤ん坊時代は弟とセットで寝かされていた。その乳児期の記憶から、誰かとくっついて寝ないと不安になるのか。

 …と考えたりもしたが、弟は1人好きで「独身のまま植物のように暮らしたい」と吉良吉影的な発言をしている。また、他人に体を触られたりするのも苦手らしい。
ということは、生まれもった性格なのか。はたまた、弟はデブの姉にくっつかれてウザかったのか。
ちなみに弟はシュッとスリムな赤ん坊で、私は生まれた瞬間から太っていた。

 昔、女友達と二人旅をした時、手違いでダブルベッドの部屋を予約されていた。
「広いベッドだしまあいっか」と眠ったのだが、夜中に私がくっついてきて、彼女は大変ウザかったらしい。
翌日はツインベッドの部屋に変えてもらったのだが、私が寝ながら義経の八艘(はっそう)飛びのように飛び移ってくるんじゃないか?とヒヤヒヤしたという。

 睡眠時の無意識でも誰かと一緒に眠りたがる。そんな病的に寂しがりやの私は「1人でも平気」「1人暮らしが最高」という人が本気で羨ましかった。
前回も書いたように、「結婚できない自分は欠陥があるのでは?」という意見を耳にするが、私からすると「完全生命体なのでは?」と思う。体内に元素変換細胞膜が存在するんじゃないか。