子宮をとろうがとるまいが
とはいえ、手術前よりは確実に健康になった。
だがこの1年、心身の調子があまりよくない時もあった。子宮をとろうがとるまいが、それは誰にもでもあることだ。
特に40代は疲れやすくなったり、体のあちこちが痛んだり、無理がきかなくなるお年頃。
孔子は「40にして惑わず」と言っているが、それは春秋時代の話で、現代の40代は「中年の危機」という言葉もあるように、惑い悩むお年頃だ。
そういう時は、屁をこいて寝るのが一番。傷もふさがって今は屁をこいても痛くない。
人間、生きてりゃ調子の悪い時もある。そんな時に「子宮をとったせいかも…」と理由探しにハマると「子宮をとると悪いことが起こる」という子宮教の呪いに利用される。
ネットで検索すると「幸せは子宮が引き寄せる!」「子宮に感謝すれば願いが叶う!」といった言葉が出てくる。「屁のツッパリはいらんですよ」ぐらい言葉の意味はわからんが、とにかくすごい自信だ。
人はわかりやすい理由を欲しがるが、べつに悪いことをしたから病気になるわけじゃない。生まれつき病気を抱えてる人もいるし、生きてれば誰だって病気にかかる可能性はある。
私は高度な現代医療のお陰で病気の苦しみから解放された、そのことに感謝したいと思う。
手術により過多月経から解放されて、今では好きな時に外出できるし、旅行の計画も立てられるようになった。手術前はトイレで血を見るたび「当分、遠出はできないな」とうんざりした気分になっていた。
月の半分をそんな気分で過ごすなんて、人生がもったいない。40代のまだまだ元気な時期をもっと自由に楽しく生きたい。
手術を検討している筋腫シスターズには「私の場合、2日間ぐらいは地獄だったけど、その後はずっと快適だよ」と伝えたい。1年たった今では「そういえば手術したっけな~」と遠い記憶になっている。
たまに思い出すのは、トイレの戸棚にある生理用品の在庫を見た時ぐらいだ。
「捨てるのももったいないし、利用方法はないかな」と女友達に話すと「花粉症の時に使ったら?ドロッと鼻水も吸収!」「窓に挟んで結露を防いだら?」「凍らせてアイスノンにしたら?」などのアイデアが寄せられた。
ネットで検索すると「生理用ナプキンを靴の中敷きにすると足のニオイを防げる」との情報を得た。たしかにテープもあるしズレなくて便利だ。
今度、夫の靴にナプキンをそっと忍ばせたいと思う。
Text/アルテイシア
※2017年7月25日に「TOFUFU」で掲載しました
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