私がオタクになれない理由
前といえば、私がオタクになれない理由に「人の名前を覚えられない」もある。
ひさびさの人に会うと「この人の名前なんだっけ?」と思い出せないまま話すことは多いし、加齢によって“君の名は”状態にさらに拍車がかかっているが、昔から人の名前を覚えるのが苦手だった。
特に二次元は覚えにくい名前が多い。
十代の頃『銀河英雄伝説』や『ファイブスター物語』も読んだが、登場人物が多すぎて誰が誰だかわからなくなった。銀英伝は特に「エンリケ・マルチノ・ボルジェス・デ・アランテス・エ・オリベイラ」など、作者もふざけてるとしか思えない長い名前もあって、私には難しすぎた。
以前、ニコニコ動画「アルテイシアの相談室」でBL研究家の金田淳子さんと対談した際、金田さんは「三次元の人物の顔を覚えるのが苦手だ」と仰っていた。
「二次元は記号化されてるし、髪型とか基本変わらないから覚えられるんですよ」とのことで「なので次にアルテイシアさんに会ってもわからない可能性があります、すみません」と事前に謝られた。
実際、金田さんはイベントで福島瑞穂さんに会った時「土井たか子さんでは!?…あっ、土井さん死んでる…!?」と口走ったそうだ。
一方「銀英伝やFSSは人名は多いけど、カッコいい音の響きが多いので覚えやすいですよ!」と話していたので、やはり人には得意不得意があるのだろう。
対談で金田さんが「旦那さんの『ウンコを漏らしてこそ一人前だ』という言葉、素晴らしいですね」と褒めてくれて、「私も人生で4回ほど漏らしています」と教えてくれた。
帰宅後、夫に「金田さんはウンコを4回漏らしたんだって」と話したところ、
夫「1日でか?」
アル「なんでや、人生で4回」
夫「それは少なすぎるだろう、きっとサバを読んでるな」
と、勝手にウンコサバ読み疑惑をかけていた。
「そういうキミは人生で何回漏らしたのか?」と聞くと「そんなの数えきれない」と即答されたので、夫の方にアナルガバガバ疑惑が浮上した。
私は現場に居合わせたことがないが、結婚後も夫は何度かウンコを漏らしているらしい。
「家でゲームしていて、もうすぐクリアできる!とギリギリまで我慢してたら漏れたこともある」と打ち明けられたので、その話を女友達にしたら「うちの6歳の子どもでもゲームを中断してトイレに行ってるよ、大丈夫?」と心配された。
大丈夫かどうかはわからないが、夫は他人の脱糞にも寛大だ。
先日も私が下痢気味で「やばい、ウンコ漏れそう」と焦っていたら「ウンコを漏らすのは一向にかまわない」と言われ「私がかまう!」と慌ててトイレに駆け込んだ。
「アルテイシアのコラムはしょっちゅうウンコの話が出てきて下品だ」と批判されることがあるが「仰るとおりです」と返すしかない。
だが、人は誰でもウンコを漏らす(多分)。今漏らさなくても老後漏らすかもしれないし、それを始末し合うのが夫婦なのだから、ウンコには寛大な方がいいんじゃないか。
ちなみに当コラムを書くにあたり「とはいえ脱糞は名誉なことではないし、匿名にした方がいいかな」と思って金田さんにメールしたところ、『便を漏らした経験については隠しておりませんし、漏らすことが恥でもないということを読む方にも伝えたいと思ってますので、実名で書いてくださってOKです』との返事をいただいた。
かっこいい。こんなに威風堂々と便を漏らす人がいるだろうか。
私もその漢気を見習って、もし誰かがウンコを漏らしたら「恥じることはない、お前はよくやった!」と肩に手を置きたいと思う。
Text/アルテイシア
※2017年2月21日に「TOFUFU」で掲載しました
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