個人的に、共同生活で大切なのは鷹揚さ、すなわち「まあいっか」の精神だと思う。

　夫はたまにトイレの床に尿をこぼしている。潔癖症の女友達は「私だったら発狂する」と言っていたが、私は「こぼれてないか確認しろよな」とは思うものの「ウンコじゃないし、まあいっか」と拭いている。

　また、夫が使用後にトイレの便座を上げっぱなしにしていて、尻が便器にハマることがある。ハマった瞬間はショック死しそうになるが、「キン肉マンみたいに便器に流されなければ、まあいっか」と思う。

　我が家の家事分担的には、トイレットペーパーや猫砂の補充は夫の役割なのだが、いざ股を拭こうとした時に紙が切れていても「パンツずらしたまま紙を取りに行けばいいし、まあいっか」と思う。

　全部トイレの例で恐縮だが、私は最優先すべきは「夫婦が機嫌よく仲良く暮らすこと」であり、家事分担はそのための手段だと思っている。「完璧に分担すること」を目的にするとギスギスする気がするので、我が家はかなりゆるゆる・大ざっぱにやっている。

　夫婦のカタチは様々だが、我々にはゆるゆる方式が合っている。と、たまには夫婦コラムっぽいことも書いてみた。

　ついでに書くと、我が家は「察して禁止令」を導入している。

　古より男女間では「なんで察してくれないの？言ってくれなきゃわからないよ！戦争」が続いているが、私は「言わなくても察してほしい」とニュータイプ能力を期待せず、話し合うようにしている。かつ「話し合う時はイチャイチャしながら」というルールも導入している。

　実の母がいつもイライラと不機嫌な人だったため、私は「機嫌よく仲良く暮らしたい」という思いが強い。それにはまず自分のストレス発散が大事。というわけで、原稿が終わると美味い酒を飲みに行く。

　だが時折バーで「飲みに行って旦那さんは怒らないの？」とか抜かすオッサンに遭遇して「うるせえな。だいたい私が飲みに行かなければ、旦那はいつオナニーするんだ？」と思う。

　私は在宅仕事なのでいつでもオナニーし放題だが、私がずっと家にいると、会社員の夫はオナニーするタイミングがない。夫にも「スッとしたぜ」とエシディシのようにスッキリ発散してほしい。

　そんな願いもこめて、デブの女の子の動画やグラビアを教えてあげるのだ。

　かくいう私もたまには「もう少しちゃんとしよう」と思う時がある。

　先日、飲んで帰った夜に「今日はちゃんとシャワー浴びてから寝よう」と思い、風呂に入った。そして風呂上り、脱衣場で左右に足がすべって、360°開脚状態になった。

「ギャアアア！股が裂けたー！！！」と叫ぶと夫が駆けつけて「風呂上りに転倒なんて、ジャイアント馬場になってしまうぞ」と助けてくれたが、股関節の靱帯断裂とかなるとシャレにならない。

なので、やっぱりちゃんとするのはやめようと思う。

Text／アルテイシア
※2017年5月30日に「TOFUFU」で掲載しました。

　過去10年間に執筆したエロコラムが詰まった『アルテイシアの夜の女子会』が2018年2月7日に発売。表紙はTOFUFUでも連載してくださっているカレー沢薫さんのイラスト。BL研究家・金田淳子さん、妖怪作家・ぱぷりこさんとの対談も収録。

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