全エディターが戦慄する、怒涛の年末進行&来季の撮影シーズンに突入して疲労困憊中のダラ嫁です。
とはいえ、一年で一番せわしないこの時期が、実はもっとも私に季節感を感じさせてくれるシーズンでもあり、わりと嫌いじゃないんです。職業柄、つねに数ヶ月先の季節物の撮影をしているので、エディターというのは一年を通してずっと季節感がトチ狂ったままなのですが(え? 違う?)、この時期の街は特別。
どこもかしこもクリスマス。街中が浮き足立ってキラキラしてて。独身だったときはめちゃくちゃ苦手だったこの感じ(だって大体いつも“ぼっち”だったから! 言わせんな!)。結婚して初めて、うわ、この感じめっちゃ楽しいな!って気づきました。ハロウィンが終わった途端、100均の店頭がツリーのオーナメントやサンタ帽で埋まるのは「きたー!」て感じでワクワクするし、街のイルミネーションも素直に美しい。ああ……、いいね! クリスマスって!
弾んだ気持ちで家族や友人たちへのクリスマスプレゼントのアイデアを考えるのもこの時期の最高の楽しみ。プレゼントといえば、この時期、繰り返し語り継がれるO・ヘンリーの『賢者の贈り物』を思い出します。誰もが一度は読んだことがある定番のクリスマス・ストーリーじゃないかな。
物語の主役は、貧しくも仲睦まじく暮らす夫婦、ジムとデラ。お互いにクリスマスプレゼントを準備しようとしますが、なんせちゃんとした贈り物を買うお金が二人にはありません。ベースにあるのは、キリスト誕生を祝うために集まった東方の賢者たちが、黄金と没薬と乳香(当時のとても高価なものの象徴)をたずさえてベツレヘムにやってきた、というエピソード。それに対比して、「高価なものを贈り合うことが素晴らしいことではない」という皮肉をこめつつ、心温まるストーリーとして仕上げられています。
あらすじはみなさんもご存知の通り、夫は妻のプレゼント購入費用を工面するため、代々受け継いできた大切な金の懐中時計を手放すことに決め、妻のためにべっ甲のくしを清水買いします。一方妻の方は、夫の宝物である懐中時計につける金のチェーンを買うために、夫が愛した自慢のロングヘアをバッサリと切って換金してしまう。二人は物理的には大事なものを無駄に失ってしまったが、お互いへの深い愛情を一層確認するのであった、というハッピーエンドになっています。
この物語が語られる文脈はいつも、夫婦の行為は一見愚かな行為だが、「東方の賢者の贈り物」よりも尊い行為なのではないだろうか、という道徳的なメッセージを含んでいます。
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