若干アウト気味のセーフ
夫はすでに出社済みだったので、慌てて「誕生日おめでとう」とラインを送った。
すると「おそいわ。ありがとう」と返信があった。若干アウト気味のセーフだ。あんまり怒らない夫だが、前に返事をしなかったことにキレたように、どうでもいいもののように扱われるのは嫌なようである。当たり前だが。
もちろん、夫のことがどうでもよいわけではない。それに誕生日の事だって、前日まで覚えていた。ただ、たまたま起きた瞬間、ガチャのことしか頭になかっただけだ。
お互い干渉しすぎないようにしている我々だが、それでももっと夫のことを気にかけるべきだと反省することは多々ある。
ちなみに今回のテーマは「結婚して、夫の変わったところ」なのだが、全く思い浮かばない。しかしこれも夫が変わってないというわけではなく、私がその変化に気づいていないだけなような気がする。
コミュ症のコミュ症たる所以は、圧倒的他人に対する興味のなさであり、どうにもならないと思うが、やはり家族のことぐらいはもっと気にするべきだとは思う。
おそらくこのままでは、嫁の気持ちや変化に全く気づかず、上手くいっていると思い込み、定年後に離婚を切り出され「なんで!?」となってしまう男と変わらないことになってしまうだろう。
しかし「今ガチャに溶けた金さえあれば夫の誕生日をもっとラグジュアリーに祝えたのに」のような後悔だけは一切しない。
ガチャで失った金をほかの事に使えば良かったと後悔することは「あなたが今までガチャに溶かしたお金でベンツが買えますよ」という、ドヤ顔ダブルピース詭弁を容認することになってしまう。
「ガチャに溶けた金が戻ってきたら、またガチャを回す」それ以外ない。たとえそれが夫の誕生日だろうが、命日だろうが、だ。
つまり、ガチャで大金を溶かしながら、夫の誕生日も祝う。それがソシャカスのつらいところだ。覚悟はいいか?ということなどだ。もちろん覚悟はできている。
だが、本当につらい。
Text/カレー沢薫
- 1
- 2