人生にはフェイズが変わるというか、新しいターンに入るというか、それまで当然だった日常と別離する機会が度々あると思います。転職だったり、恋人に別れを告げたり、引っ越しだったりと、自分の意思で心機一転することもあれば、なんらかの理由で職場を離れなくてはならなかったり、恋人に一方的に振られたり、家庭の事情などで仕方なしに実家に戻るなど、向こう側から転機が訪れること場合もある。
後者のような、向こう側から一方的に襲ってくる不可抗力な変化は、場合によっては煩わしかったり不安だったり心細かったりのこともあるけど、わたしに関していえば、必ずしも悪いことばかりでもなかったように思います。というのも、わたしには現状に耐えてしまう「長女だから」のド根性癖があるせいか、離れてみて初めて、実は仕事にものすごくストレスを抱えていたことに気が付いたり、別れた悲しみよりもせいせいと自由な気持ちであることに驚いたりすることが、少なからずあるのです。
外側の変化をきっかけに自分の本心に気が付くなんて、己の鈍感さにがっかりしますが、“そういう性質である”と自覚していれば、「もしかして、いまのわたし、ちょっと無理してない?」と度々自らに振り返って、自分の本心を問いただすこともできる。前向きに生きようとすればするほど、うっかり陥りがちな自己欺瞞の罠を避けるには、自分で自分を誤魔化していないかを、折々で己に問うのがよいのではないかと思うのです。
わたしが脱いでいた理由
少し話がずれてしまいましたが、新しいステージに進んだからといって、それ以前の過去がなかったことになるわけではない。もちろんリセットする方法はいくらでもありますが(だってエロ業界で働く多くの人は、そのために源氏名を使っている)、わたしの場合は過去をとくに切り離すことなく、“大泉りか”として生きてきました。ゆえに、関係した男性に「なんのために脱いでいたの?」と問われるはめになる。
さて、なんのために脱いでいたのか。これはなかなか難しい質問です。というのも、ひとつの答えだけでなく、いくつもの要素が絡み合っているからです。もちろんシンプルなのは「お金になる」というだったけど、そればかりではなく「脱ぐとフリーダムな気分になって楽しい」ということもあったし「エロい目でみられるのが快感」もあったし「知らない世界が垣間見えるから」や「アングラに触れるドキドキ感」もあったし「表現活動」でもあったし、「自己顕示欲が満たされる」というのももちろんあり、さらに「のし上るために利用できるものは利用する」という下心もあった。
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