泣いてしまう自分を認め、相手に伝える、引きずらない
まず、「泣いちゃいけない」と自分にプレッシャーを与えるのを一旦やめてみてはいかがでしょうか?
泣いてしまう自分を認めたうえで、そのことを相手に伝えるのです。
たとえば、彼に話をするときは前もって「感情が高ぶったら泣いてしまうかもしれないけれど、それは決して同情を引きたいわけではないから、泣いている事実に注目せずわたしの言葉だけで判断してほしい」「泣いてしまうほどあなたに対して伝えたい気持ちがある」と伝えておくとか。
仕事で意見を言うときもそう。
たとえ涙が出てきてしまっても、「泣いてしまうほど情熱があるんです!」とそのまま伝えたり、「すみません、わたし今泣いてますけど、これはつらいわけではなくて熱い気持ちとともに出ただけなんで!」とありのままの自分を見せたり。
こういう風に、泣いてしまった側の人間から「わたし今泣いてます、でも大丈夫な涙です!」とあらかじめ言っておくことで、周囲の心配や戸惑いが軽減するはずです。
ちなみにですが、わたしは昔職場で大泣きしたことがあります。
仕事で大きな失敗をして上司に激詰めされたとき、しばらくは「絶対に泣くもんか」と歯を食いしばっていたんですが、どうしても耐えきれず……。
すると、「泣いたって解決しないだろ!」とさらに怒られてしまい、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら「そんなことはわかってます! 涙で解決しようだなんて思ってません! 感情の高ぶりによってところてん方式に涙が押し出されただけです! いちいち涙に注目せず失敗した事実を怒ってください! 涙で同情を誘うような女だと勘違いしないでください!」と怒られている立場にもかかわらず逆切れをするというね……いやはや、なんとも生意気な女でした。
話は戻りますが、実際に泣いてしまったあとの行動も大事だと思います。
泣いてしまったあとに「すみません……」と落ち込んだり、ずっとメソメソを引きずるのも周りが気を遣ってしまいますからよくないんですよね。
だから、もしも職場で泣いてしまったときは「わははは! 情熱的な女だから心の汗が出ちゃいました! すみません! 涙腺がガバガバで!」とカラッと切り替えることをおすすめします。
そうしていくうちに、周りもあなたが泣いている事実に注目することが少なくなり、あなたも泣くことに対する強迫観念が軽減されるのではないでしょうか。
もしも、自分がすぐに泣いてしまう理由を深く考えたときに、根底に過去のトラウマなどがあるのであれば、然るべき機関に相談してカウンセリングを受けてみるのも、選択肢のひとつとして覚えておいてくださいね。
傷ついた経験のある人が、傷の治し方を知っている
次に、恋愛で傷つきたくないという気持ちが強いあまり、彼のことを常に疑ってしまうお悩みについてお話しします。
あなたなりに考えた「自分に自信を持てるようにする」というのは、解決策といえば解決策ですし、それができるに越したことはありません。
でも、自信なんてものは一朝一夕で得られるものではないはず。
無理矢理につくり上げた自信は、一見無敵に思えても、案外脆いものなのです。
相談文の中に「予防線を張りまくってしまう」とありますが、おそらくあなたの言う予防線というのは、いつどれだけ傷ついてもいいように準備しておくことを指しているのでしょう。
常日頃から「こっそり隠れて浮気しているのかもしれない」「この前連絡が途切れたとき、他の女の子と会ってたのかも……」と心構えをしておけば、実際にそうだったときに「ほら、やっぱりね」とショックが軽減される、ということだと思うのですが……でも、仮にあなたが傷つくような事実があったとしたら、常に疑いの気持ちを持っていようが、何も知らずに過ごしていようが、結果は変わらないですよね。
あなたの言う“予防線”があろうがなかろうが、傷つくときはどうしたって傷つきます。
いくら心構えをしたとしても、あなたが受けた傷に浅いも深いも関係ないのではないでしょうか。
おそらくあなたもわかっているとは思いますが、むしろ常に疑ってかかるほうが、相手はそれを感じ取ってよりプレッシャーとなり、お互いが傷つく素因になると思います。
できることなら傷つきたくない。あなたの気持ちはよくわかります。
わたしだってできる限り傷つきたくないですし、傷つきたいと思って恋愛する人は多くないはずです。
もちろん、傷つかないに越したことはありませんし、傷つけられてばかりの場所に闇雲に突っ走る必要はないのですが、だからといって過剰防衛は逆に心配です。
だって、これから先、あなたが一生傷つかないでいられる保証はどこにもないのですから。
傷つく可能性があるものを全て避け続け、一度も傷ついた経験のないまま年齢だけを重ねていくと、いざどうしたって避けられない事態に陥ったとき、あなたはどうしたらいいかわからなくなってしまうのではないでしょうか。
傷ついた経験のある人が、傷の治し方を知っているのです。
「絶対につらすぎて死んじゃうって思ったけれど、時間が経つと苦しさって少しずつ減っていくんだ」「一生涙は枯れないと思ってたけど、好きなものを好きなだけ食べたら案外ピタッと止まったな」など、心と体の回復に有効なものがわかり、それはいつしか他の心の疲れにも応用できるようになります。
さらに、自分一人ではどうにもできないとき、人に頼るという選択肢も覚えます。
「あいつサイテーな男だな!」と一緒に悪口を言ってくれる人、「よし! 今日は朝までとことん話聞くよ!」と寄り添ってくれる人、「あなたもこういうところがよくなかったんじゃないかな」と厳しい意見をくれる人、「へぇ、そうなんだ」と何も言わずにいつも通りに接してくれる人たちに触れることで、あなたを助けてくれるたくさんの存在に気づくきっかけにもなります、
傷つくことは失うことばかりではなく、得られるものもたくさんあるということをどうか心に留めておいてほしいと思います。
「泣いちゃいけない」と思えば思うほど涙が止められない悩み、恋愛で傷つくのがこわいせいで常に疑いの心を持ってしまう悩みも、解決方法はとても似ています。
泣かないように、傷つかないように、と先回りしての対処は少し難しいはず。
だから、泣いてしまったとき、傷ついたときに、どうしたらいいかを知っておくことが、今のあなたには必要なのではないでしょうか。
その選択肢が増えていくにつれて、少しずつ自信がついてくると思います。
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この連載では引き続き読者の皆さまからの恋愛相談を募集します。
最後の一歩が踏み出せない方の背中をドーン!と押すため、今にも崖から落ちそうになっている人を腕一本で引き上げるため、誰かに厳しく叱られたい方の左頬をフルスイングで打つため、わたくしポジティブゴリラは日々ゴリラらしく腕力を鍛えてお待ちしております。
Text/ものすごい愛
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ものすごい愛さんに順次回答いただく予定ですが、隔週掲載となるためお待たせしまうこと、すべてのご相談に回答できない可能性もございます。
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読むとどうしても幸せになってしまう。“ものすごい愛” にまみれたサイコーにハッピーな日常エッセイ!