モテるだろうから俺以外の男性と…

大前提として、「○○ちゃんってモテるでしょ」発言に嘘はありません。お世辞や社交辞令ではなく、心の底から「モテるであろう」と思っているからこそ出る言葉です。明らかにモテとは無縁の女性に対して「○○ちゃんってモテるでしょ」と言っている男性を見たことがないので。アニメで喩えると、峰不二子には「モテるでしょ」と言うでしょうが、ジャイ子に対して「モテるでしょ」と言うことはありえません。

ジャイ子ではなく峰不二子として認識されているって、一瞬テンションは上がりますけど、喜ぶのはまだ早い! なぜなら、全ての男性が峰不二子を好むとは限らないからです。「オトコ慣れしてそうで、なんかコワい」と敬遠する男性もいるでしょう。なので「モテるでしょ」発言は、峰不二子のように世間一般的にはモテるであろうが、俺の好みではないと、遠回しに伝えてきていることになります。

「俺の好み」であれば……つまり好意があれば、「モテるでしょ」だなんて他人目線の褒め方ではなく、自分の言葉で褒めるはず! そうではなく、「俺がどう思うか」を差し控えているわけですから、モテるでしょうから俺以外の男性とお楽しみください……が、相手の本音です。

「照れがあって、自分の言葉で褒められないだけでは?」というツッコミはごもっとも! 確かに日本人男性は照れ屋です。そりゃ、「なんて美しい女性なのだ!」とか「キミはとても魅力的だよ」とか「キミの瞳は1万ボルト」(堀内孝雄の名曲です)とか言うのは照れ臭いでしょう。

でもね、 「ノリが良いよね」とか「癒やし系だね」とか「一緒にいると楽しい」くらいだったら、照れ屋な日本人男性でも言えるはず! このように照れを気にせず言える褒め言葉が確かに存在する中、あえて他人目線として「モテるでしょ」と言うのは、俺の好みではないってことなのでしょう。

好みと思ってくれていない発言に対し、どう返すべきかベストアンサーを模索するのは時間の無駄です。「動物や小さい子どもにはモテるんですけどねー」的な、優等生回答は不要! 「はい、MMK(モテてモテて困っちゃう)です」的に、テキトー回答で済ませましょう。

Text/菊池美佳子
初出:2020.10.05