中に入ると、「ごきげんよう」のスタジオ(無人)や、出演者控え室、各種バラエティの小道具などが展示されていたのですが、内容以上に、それらをジッと眺める人々の熱気に圧倒された。
なんというか、真面目すぎるのである。
「どうしよう…すごいところに来ちゃった」みたいな、静かすぎる感動。
その横顔は、なんだか恥ずかしさを通り越して切なかった。
彼らにとって人気芸人のパネルは、さながら教会のステンドグラスのように神聖なものだったのかもしれない。
いくつか点在するショップはどこもにぎわっていて、女子アナとコラボしたアパレルや、人気番組のグッズ、また自社ビルの球体をもじったグッズなどが様々に展開されていたのだが、ここで私もとうとう辛抱ならなくなり、「逃走中」のメモパッドなんて買ってしまった(使い道ねーよ)。
それはつまり、己の中にもあった芸能界への憧れ、浮つきを、とうとう認めてしまった瞬間であり、恥ずかしながら、やっぱり私もうれしかったんだと思う。
このお祭りに来れたことが……。
そんな一般庶民たちの信心を汲み取り、イベント&グッズという形で利益に繋げるフジテレビの商魂センスは、改めて凄い思う。
そしてこんなに大勢の人が芸能界を渇望しているのなら、高視聴率もヒット曲も簡単だろうなんて思ってしまうのだが、それはまた別なんだろうか。
しかし、浮かれながら本社を出て、吹き抜けのようなところに広がっていた光景に、この祭りの深淵のような見てしまった。
そこではなんと、庶民たちが一心不乱にカップヌードルを貪り食っていたのである。
一応正式にブースで販売されていたものではあったものの、入場料1700円の弊害がこんなところに現われるのかと思った。
豊かさってなんだろう。
というより、ひょっとしたら食を削ってまで優先すべき1700円だったのかもしれない。
芸能という神々の住処で、球体を見上げながら麺をすする庶民たちの顔は、恍惚と輝いてさえ見えた。
Text/少年アヤちゃん
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