言いようのない哀愁を漂わせるライオン
動物たちもそんな人間の気持ちを知ってか、なにか言いようのない哀愁を漂わせていて、特にライオンの背中が放っていたオーラは「かつては威厳のあった父親がすっかり小さくなって」みたいな、治しようのない感じのものでした。
唯一百獣の王の片鱗を感じさせたのが排尿の勢いで、スパーーッと切れ味の良いウォーターカッターを連想させました。
尿道の粘膜が強いんですね。
ちなみにこの森は、「宝くじの普及事業として整備されたもの」らしく、人間の力ってすごいと思いました。
ここまでが「パンダには劣るけど、まあ花形」なエリアだとしたら、それ以降の寂れっぷりは地獄だった。
悪臭にまみれた鳥小屋、発狂したように糞尿を撒き散らして暴れる猿、ハリボテの氷上でうなだれるシロクマなど……。
なぜかゴキブリが国宝のように展示されているエリアもあり、花形動物との落差がトップアイドルと地下アイドルの対比そのものだった。
とすると、エースのパンダは聖子でゾウはおニャン子か。
そしてライオンは明菜で、ゴリラはユッコなのか……。
色々な符号に納得しながら、今度はモノレール(160円)に乗って園内を移動。
着いた先には大きな池があり、その裏に爬虫類ばかりが集まった集落がありました。
激しいトップ争いから解脱した彼らは、地味ながらも安心して見られる存在で、メジャー戦線を離れて豊かに暮らすサブカルミュージシャンのようでした。
彼らから見たパンダとかほんと邪道なんだろうな。