踏み込まなきゃ恋愛は始まらない!
By HARRY NG
最終回に、印象的なセリフが登場します。
「俺が親から唯一教わったものは、束縛をしないという優しさだった。だからなのかなあ、ほどけるほどの強さでしか、人とつながれないのは…」(第12話)
“自分の世界”を守るために、“他人の世界”も尊重して、決して踏み込まない。 私たちは、いつしかそういう生き方に慣れっこになっています。
でも、恋愛とは本来、いやでも相手の心に土足で踏み込み、自分の領域に踏み込まれ、ときに相手にしがみつく姿を見たり見られたりしなければいけないものです。
そこに踏み込めず、自分の世界を守ることしか考えられていなかった幸世は、だから厳密な意味ではまだ「恋愛」を始めてはいません。
最終回のラストで、「これからは俺が、誰かのモテ期になるんだ」というセリフがあるように、この作品は恋愛ドラマではなく、今まさにここから恋愛が始まるドラマなのです。
このように、恋愛ドラマは、いまや“恋愛以前”の自意識の壁を取り去るために1クール使い切る時代になってしまいました。
“自己完結型男子”と恋愛する道のりは、ずいぶん険しそうですね…。
Text/Fukusuke Fukuda
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