そらみ

いいね、ロックで気持ちが良い。ののかちゃんは? どんな風にライターをスタートさせたの?

ののか

私は……なんとか生きようともがいてる中でライターになった感じなんですね。

言葉を選び選び、「ちょっと違うかな」と葛藤しながら話すののかちゃんを想像してほしい(緑色の外見に惑わされるな!)。大事なことを伝えたいからこそ、誤解されないように言葉を選びつつ自分自身に確かめながら話す。

ののか

会社員をやってたら病気になっちゃって、リハビリのような思いで書き出して。小さい頃から文章書くのがすごく好きだったから、どん底のなか書くことだけが残った感じです。

そらみ

書くことにすがったって感じなのかな? 今もすがってる感じはある?

ののか

そうです、今もそうです。私、ただ生きてるだけでも”我慢してる感覚”が強いというか……。そんな毎日の中生じた衝動を無我夢中で書いて、それによってやっと昇華されて、やっと生きれてるんだと思います。

その不器用さが、意外だった。

そらみ

2人とも、”これ書いたらウケそう!”とか、”この体験キャッチーだぞ!”とかが書く動機にあるわけじゃないんだね?

ののか

全然違うんです。だから”体験を売りにしてバズらせようとしてる”とか言われると、正直ムカついちゃって。

そらみ

体験を書いてバズってるのは事実であるけど、狙ってやってるわけではない、と?

ののか

そう……バズると思って書いてるわけじゃないんです。だって読み手がどうとかそんなこと考える余裕はなくて、もうほんと”書かないと!”みたいな感じなんですよね。

<ここまでの乱暴なまとめ>

ののかちゃん:生きるために、駆られて文章を連ねている。バズるため、とか、考える余裕もない。いわゆるアーテイスト気質。

マドジャス:好きなものを書いている。バズるから、とかで書くものを選ぶほど迎合できないまっすぐな性格。

そらみが思ったこと:まさかバズるために晒している、という要素がこんなにも無いとは予想していなかった! 数字ばかりが問われるWEB業界で、このまっすぐさはすごい!

発信する、そこにある思い

舘そらみ×佐々木ののか×マドカ・ジャスミン対談画像
そらみ

でもじゃあどうして発信してるんだろう? 自分で書いてどこにも出さずに自分で楽しむ、じゃダメなのだろうか?

マドジャス

私中卒なんですけど、中卒でも色々挑戦できるぞーとか、こんな人間居てもいいんじゃないかーとか、そういう存在になれたらいいというか。生きてきたからには、何かを残したいって思いがあって。だから、発信はしたいんです。

そらみ

わ、意外なメッセージ性が出てきた!(笑)

マドジャス

若い人にこう思ってほしいとか、実はガンガンあります(笑)。性感染症にかかったことを記事にしたのも、「世界平和のためにも言いなさい!」って婦人科の先生に後押しされ、私自身本当にそう思ったし。「婦人科に行きたくても行けない」って高校生からの悩みもたくさん届いてたので、これはもう私が公表せねば!という使命感ですね。

そらみ

性の体験をアケスケに書いてるかのように見せかけて全く違う!

マドジャス

そりゃ専門家のようには話せないけど、私のような人間だからこそ言えることもある気がするんですね。そんな風に、読み手のなにかきっかけになったら、とか思います。

そらみ

バズるためだけに題材は選ばないけれど、読み手にとって何がいい題材かは考えるってことだね。特に大好きな性に関することだからこそ、しっかりと伝えたい、と。すごいかっこいいと思う。

マドジャス

まあ、誰かに必要とされたいという自己承認欲求も全然ありますけどね!

と照れるマドジャスの横で、「すごいなあ」と盛んに首を振るののかちゃん。マドジャスとは違い、読み手のためになるかどうかは一切考えずに衝動のまま書くという。では書くけれども発信しない、という選択肢もあるのではないだろうか?