エマは「既婚者」に人生を変えられてしまう
“ラブ・ドクター”の化けの皮が剥がれていくのがスリルです。
ラジオで「恋愛の事ならなんでもお任せ!」って顔でスラスラと女性たちの悩みを解消していくエマが、実は一番恋愛に素人だったというオチ。
リチャードとの婚約が仕組まれた「既婚者」の存在で一気に揺らぎ、さらにはその「既婚者」へ気持ちが揺らいでしまう可笑しさ。新しいタイプの三角関係が始まります。
「パトリックと婚約している」と嘘をつかなければならない状況になったエマの慌てっぷり。本人からしてみると笑い事じゃないですが、かなり可笑しな光景です。
戸籍データを変えるだけで人生すら変えさせてしまうのだから、結婚とインターネットは恐ろしい……。
リチャードが消防士である事はキチンと伏線になっている。
炎上した三角関係の“火消し”を行うのは、一体誰なのでしょうか?
恋のアドバイザーにアドバイスするのは……
エマはパトリックに恋い焦がれていくうちに、自分のアドバイスがもたらした事の重大さに気付いていく。
アドバイス一つで婚約を破棄してしまうことだってあり得る。そして、それに恨みを持つ相手だって確実にいる。パトリックはエマと恋に落ちることで、おのずと「自分の婚約を台無しにした奴の婚約を台無しにする」作戦が成功していく。パトリックからしてみたら、ある意味一石二鳥な展開が見事です。
エマは自分の蒔いた種によって、幸せをがんじがらめにさせられる。
結局恋に指南書はなく、『真実の愛』はどこにも載っていない。恋愛は体験することで学んでいくしかないようです。
どんなに恋愛の知識があっても、イコール恋のプロフェッショナルじゃない。現実の恋は、本気になればなるほど、取り乱し、泣き叫んでしまうのですから。
“ラブ・ドクター”は自らが患者になることで、恋の病の重さを知る。恋のアドバイザーをアドバイスするのは、彼女の恋そのものなのでしょう。