「父」と「母」は、その称号を誰かから授かるものではない。
養ったから父なのか。産んだから母なのか。たとえ血が繋がっていても、本当に父と母と呼べるのでしょうか。
これは息子が取り違えられるという事件により、息子が息子ではなく、親が親ではない事実を目の当たりにする二つの家族の物語です。
6年間愛情を注いできた息子との間柄が突然失われた時、父(のような父)と母(のような母)はどのような決断を下すのでしょうか。
『誰も知らない』『歩いても 歩いても』など、どの作品も世界的評価を受ける是枝裕和監督。ミュージシャン、そして俳優としても国民的存在の福山雅治。この二人がタッグを組んだら恐いものナシ!
更にそこにリリー・フランキー、真木よう子、尾野真千子、井浦新、風吹ジュン、樹木希林、そして今年5月、惜しまれながら永眠した夏八木勲ら豪華なキャストが勢揃いしたのですから、名作が生まれないわけはないでしょうね。
カンヌ国際映画祭で審査員長のスティーブン・スピルバーグが大絶賛し、見事審査員賞を受賞。あの二コール・キッドマンが後半1時間は涙が止まらなかったといいます。
ハリウッドでのリメイクも決定し、世界が、日本が、それほどまで心酔する映画とは一体何なのでしょうか。
その正体は、幸せと豊かさを追い求める人、かつて子どもだった人、そしていずれ父と母になるすべての人の心を揺さぶる人間ドラマなのです。
ストーリー
一流大学を卒業し、大手建設会社に勤める野々宮良多(福山雅治)は高級マンションで妻・みどり(尾野真千子)、息子・慶太(二宮慶太)と幸せな暮らしを送っていた。だが、ある“事件”が彼の生活を大きく揺るがす。
みどりが慶太を産んだ病院から、出産時に子どもの取り違えがあった事実を聞かされる良多とみどり。まさか、6年間愛を注いできた慶太と血が繋がっていないなんて……動揺を隠し切れない二人は、取り違えられた先の斎木雄大(リリー・フランキー)と斎木ゆかり(真木よう子)ら一家に会うことになる。
群馬の小さな電気店を営む夫婦に育てられた、本当の息子・琉晴(黄升絃)。だが、良多は生活環境が全く違う斎木家に困惑し、葛藤する。
やがて息子の“交換”をする野々宮家と斎木家。状況がうまく飲み込めないまま、慶太と琉晴はそれぞれの親(だった二人)のもとから離れるが……。