ほんの少し、少女だった頃のあなたに戻ってみよう『聴こえてる、ふりをしただけ』

聴こえてる、ふりをしただけ 今泉かおり 野中はな 郷田芽瑠 杉木隆幸 アップリンク

 かつて少女であり、これから母親になるすべての女性に観てほしい、心に残る感動作が公開されます。
 本作はベルリン国際映画祭「ジェネレーションKプラス」部門で準グランプリにあたる”子ども審査員特別賞”を受賞し、精神科の看護師であり二児の母親でもある今泉かおり監督が初めて手がけた長編作品です。主人公サチを演じるのは、オーディションで選ばれた野中はな。監督自身が母親であることから、全編が母から子への祈りであるような愛情に包まれています。

 事故によって突然母親を失った11歳のサチ(野中はな)は、父親(杉木隆幸)と二人きりの生活になる。周囲の大人たちは慰めるが、気持ちに整理がつかないままのサチ。彼女の中の時間は止まり、何も変わらない日常が続く。「お母さんに会いたい」という行き場のない想いばかりが募っていく。
 そんなある日、やがてまた通い始めた小学校にお化けの存在を信じる転校生(郷田芽瑠)がやって来る。彼女との出会いと、新しい生活の中で、サチの中の時間は再び進んでいくのだろうか――。

 母親を亡くした喪失感と葛藤の中、一人で次の一歩を進んでいくサチに背中を押されます。
 この映画を観るとかつて女の子だったあなたも、きっと眠っていた過去の気持ちを蘇らせることでしょう。
 恋愛や仕事に少しばかり自分を見失ってしまったら、今一度、11歳の頃の自分と向き合ってみてはいかがでしょうか。
 サチが歩む時間の中に、忘れかけていた自分が見つかるはずです。

聴こえてる、ふりをしただけ 今泉かおり 野中はな 郷田芽瑠 杉木隆幸 アップリンク

8月11日(土)より渋谷アップリンクほかロードショー

監督:今泉かおり
キャスト:野中はな、郷田芽瑠、杉木隆幸、越中亜希、矢島康美
配給:アップリンク
2012年/日本映画/99分
URL:映画『聴こえてる、ふりをしただけ』公式サイト

Text/Michihiro Takeuchi