よしもとばなな同名小説を映画化!不倫の閉塞感から逃れるように眠り続ける女『白河夜船』

 愛すれば愛するほど不毛な運命が待ち受けている。
そんな状況に直面したら現実逃避したい。それが眠ることで逃れられても、その夢から覚めた時はどんな感情に包まれるんだろう。本当に好きなら、一晩寝ても忘れない、夢から覚めることはないのに。

 不倫の行く末に何があるのか。このカップルの“夢”はぼんやりと蜃気楼のごとく掴めない。そんな閉塞感に似た堕落と葛藤の日々が、この映画には詰まっています。

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©2015よしもとばなな/『白河夜船』製作委員

 よしもとばななが1989年に発表した同名小説を、俳優や女優の写真を多く手がけるフォトグラファー・若木信吾監督が映画化。
『百円の恋』の演技で日本映画界の賞賛を浴びた安藤サクラが主演を務め、『かぞくのくに』で安藤と兄妹役を演じた井浦新が、今度は不倫カップルの相手役で再共演しています。

 ここで描かれているのは愛することの痛々しいまでの切なさと、ほんの僅かな喜び。監督自身が撮影を担い、被写体に限界まで迫ることで、主人公と観客の心の境界線を失わせます。


なぜ彼女は眠ることを選んだのか?


【簡単なあらすじ】
 植物人間状態の妻を持つ岩永(井浦新)と不倫の交際を続ける寺子(安藤サクラ)は、仕事もろくにせず、毎日家で眠り続け、彼からの電話を待つ。

 ある日、寺子の親しい友人・しおり(谷村美月)が死んでしまう。どんなことでも話せた友人の死を、なぜか岩永に告げることができず、彼女との日々を思い出すたびに寺子はますます眠ることが増え、次第に夢と現実の境目で彷徨い続ける。
しまいには岩永からの電話にも気付かなくなり、深い眠りに陥っていく――。