大切な人にちゃんと想いを伝えてる?『ももへの手紙』

 瀬戸内の小さな島を舞台に、父親を亡くしてしまった娘の再生までを描く、愛にあふれるアニメーションが誕生しました。
 7年もの歳月をかけて本作を完成させたのは、初監督作品『人狼 JIN-ROH』がベルリン国際映画祭に出品されるなど国内外で高く評価されている”鬼才”沖浦啓之監督。
スタッフには『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』など、世界に誇るアニメーション作品を手がけてきた最高のメンバーが集結しています。
そして、サザンオールスターズの原由子の書き下ろしによる楽曲が、作品の持つ温かな世界観をさらに鮮やかに彩ります。また、第15回ニューヨーク国際児童映画祭で日本作品初の長編大賞を受賞しました。

 「ももへ」とだけ書かれた手紙を遺して、お父さんは天国に旅立ってしまった。
心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま父を亡くしたもも(声・美山加恋)。「お父さんは何を伝えたかったんだろう…」という想いを抱えたまま、11歳の夏、母・いく子(声・優香)と瀬戸内の島に移り住みます。
そこで待っていたのは、不思議な妖怪”見守り組”のイワ(声・西田敏行)、カワ(声・山寺宏一)、マメ(声・チョー)との出会い。
食いしん坊でわがまま、愛嬌たっぷりの彼らにももは驚きつつも癒されていきます。
 いく子はもものために明るく振舞いながらも忙しくする毎日。しかし、日々のすれ違いからももはいく子とケンカし、その日、いく子が病に倒れてしまう。
いく子が自分のために無理していたこと、その想いに気付いたももは「絶対に私がお母さんを助ける!」と決意し…。

 ファンタジーなアニメーションは、大人になった私たちにとっては馴染みがないかも知れません。だけど、誰もが身近に感じる”家族”をとてもあたたかな目線で捉えている本作は、日々忙しくしているあなたに懐かしくもやさしい愛の気持ちをもたらしてくれるでしょう。
 いつも隣にいてくれるのが当たり前になってしまったあの人に、最近つれなくしていませんか? 主人公ももの姿を見れば、きっと今すぐ愛する想いを伝えたくなってしまうはずです。

4月7日(土)より広島・愛媛先行ロードショー
4月21日(土)より丸の内ルーブル他全国ロードショー

原案・脚本・監督:沖浦啓之
キャスト(声):美山加恋、優香、西田敏行、山寺宏一、チョー
配給:角川映画
2012年/日本映画/120分

Text/Michihiro Takeuchi