実際にあった33個の泣けるストーリー『もらい泣き』

もらい泣き 沖方丁 集英社 rain By Katie Tegtmeyer

 『マルドゥック・スクランブル』や『天地明察』などで知られる小説家の冲方丁が、小説『すばる』で3年間に渡って連載したコラムをまとめた1冊です。著者が出会った人から聞いた話をもとに創作した思わず“もらい泣き”をしてしまう話、33編を収録。ただ泣かせるような話ではなく、生きることとは、本当の思いやり、愛情とは何かということを考えさせられるコラムになっています。

 「一族から恐れられていた厳格な祖母が亡くなった。遺品の金庫の中に入っていた驚くべき中身を巡る物語」「福島出身の著者。東日本大震災の後に車がなく途方にくれていた著者に対して、声をかけてくれた人物の驚くべき世間話」「スタッフから鬼監督と呼ばれるアニメの音響スタッフ。彼のジーンズの膝に常に空いている穴の秘密」など、著者が伝えたい話33章。
 また、読者からもエピソードを募集。応募作品は「書き下ろし」として紹介されています。

 どのお話も「いい話を聞いたな~」と胸が熱くなるものばかり。「最近、泣いてないな……」と、感情が昂ぶることのない毎日に心が渇いていくような感覚になることはありませんか? ゆっくりと自分の時間をつくり、心のメンテナンスを整えてみてはいかがでしょうか。

もらい泣き 沖方丁 集英社

書名:『もらい泣き』
著者:沖方丁
発行:集英社
価格:¥1,260(税込)

Text/Yuuko Ujiie