誰かと一緒にいる大切さを知る『ひとりでは生きられないのも芸のうち』

ひとりでは生きられないのも芸のうち 内田樹 文芸春秋 167 By Mitya Kuznetsov

 未婚率や離婚率の増加、少子高齢化などの影響により昨今ブームのようになっている“おひとりさま”。「趣味や習い事でおひとりさまの時間を楽しむ」「ひとり高級ランチ」「ひとりお泊り」などなど……。なんでもかんでも1人でこなし、人生を楽しんでいるようにも見えます。

 でも、本当に1人っていいのでしょうか?

 本書は思想家でエッセイストの内田樹さんによる「孤立化」をテーマに掲げた1冊。「人は1人では生きることはできない。1人では幸せになれない」ということを訴えています。
 例えば、合コンについて。「本来は、自分ではなかなか配偶者を見つけられないノン・アクティブな人を助けるための機会であるはずが、アクティブな人間が総取りし、勝つ人間は勝ち続け、負ける人間は負け続けるという、まるで趣旨の違う制度として機能している」と指摘。

 ほかにも、ファッション雑誌『CanCam』的モテ術から、少子化対策についてまで独自の視点で突っ込み、私たちが今後どう生きていくべきなのか、提示しています。
 あなたは“おひとりさま”満喫派? 実はひとりでは生きられないとうすうす感じている? そんなあなたの今と今後を考えさせる本です。

ひとりでは生きられないのも芸のうち 内田樹 文芸春秋

書名:『ひとりでは生きられないのも芸のうち』
著者:内田樹
発行:文芸春秋
価格:¥1,470(税込)

Text/Yuuko Ujiie