「次で取り返す」のはギャンブルのような恋
すぐに改心したわけではないのですが、僕もしばらくして追う側になり、そのときに決めたのが「恋人のことを大事にしよう」ということでした。
でも、「恋人のためなら何でもする」「ひどいことをされても許す」というスタンスだと、不思議と要求はどんどんエスカレートするし、よりひどいことをされるようになります。
ウサギも、追ってくる相手がカメじゃなくてウサギだったら、多分昼寝なんかしなかったんじゃないか、と思うんです。
どんどん悪い方に変わってしまうこれまでの彼女たちは、まるで過去の自分を見るようで、ああ、これは「恋人を大事にしなければいけない」という呪いだな、と感じました。
過去に恋人を大事にできなかった経験から、過度に恋人を大事にしようとしても、立場が逆転してしまって、結局恋愛は上手くいきません。
そもそも、恋愛においては、いつでも「大事にしたら大事にしてもらえる」というような公平な取り引きができるとは限らないのです。
それでもリターンに期待して不利な投資をするというのは、合理的じゃない。「次で取り返す」からと止められなくなっている姿は、ギャンブルにも似ています。
2017年、呪いを断ち切るために
この呪いを断ち切るには、追う恋愛・追われる恋愛というような、非対称的な付き合いを止めるしかありません。
もちろん、公平に付き合えるような恋人を見つけるのが一番難しいし、恋愛において合理的な選択ばかりする必要もないのですが、消耗戦はしんどいのも事実。
2016年にちょうど三十路に差しかかった僕は、2017年こそ落ち着いた恋愛をしていく所存です。来年こそちゃんとした大人になりてえよ。
Text/朽木誠一郎
朽木誠一郎
86世代の編集者/ライター。座右の銘は「憎まれっ子この世に憚る」です。
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