8年間思い続けた先輩の境宗介との不倫に走るメンヘラ女子・高月かのんを描く漫画『あげくの果てのカノン』。その第2巻の発売に合わせて、AMでは作者・米代恭さんのインタビューを掲載します!
「恋愛が描けない」と悩んでいた作者がなぜ新作では不倫の話を描くのか、どんな恋愛観を持っているのか、また創作過程にはどんな苦労があるのか――キスシーンの描き方から担当編集さんとの恋愛談義で凹まされた経験まで、いま最も才気あふれる漫画家の果てしなく奥深い思考回路に迫りました!
他の人が描いたほうがおもしろくなる?
――このたびは『あげくの果てのカノン』2巻の発売おめでとうございます。以前AMで「ダメだとわかっているのに不倫にハマる人へ」というタイトルで1話が掲載されたときには、大きな反響がありました。
米代:ありがとうございます。1話を載せていただいたときに「すごいサイトだなあ」と思ったのですが、まさかインタビューまで載るとは思いませんでした。AM読者ほどには恋愛経験豊富ではないと思うので……。
――どうして『カノン』のような話を描くことになったんでしょう?
担当:それは私から提案しました。米代さんの『僕は犬』で描かれていたような、そのふたりでしか成り立っていないような関係をまた米代さんに描いてもらいたくて。直接お話するなかで「恋愛を描けない」という悩みがあると打ち明けられたんです。そんな悩みのある米代さんだからこそ描ける恋愛マンガがあるのではないかと思って、「不倫もので、しかもSFなのはどうだろう」と。
米代:単なる恋愛マンガよりもハードルが高いですよね。担当さんと話し合いながら毎回何とか描いているんですが、きっともっと恋愛している人が『カノン』を描いたほうがおもしろくなるだろうといつも思っています……。描けなくて悩むときは「何でこんなに苦しい思いをしないといけないんだろう」という気持ちになります。