恋愛障害を自覚したあの日

その後私の病みっぷりにビビった彼は、泣きながら私を精神科へ連れて行き、1年がっつり精神療法を受けました。
そこで振り返ったのは彼との関係……ではありませんでした。
「そもそもなぜクズ男ばかり掴んでしまうのか」を幼少期の記憶から探る旅に出たのです。

「あなたの一番小さいころから記憶をたどると、何が思い浮かぶ?」と最初に質問されたときの返事を今でも鮮明に覚えています。
「私は今まで、人生で誰かに愛されたことがありませんでした」

というのも、私の「恋愛障害」は親子関係に発端があったからです。

スピリチュアルにのめり込む母

私の母は一言にまとめるなら「スピリチュアル」な人でした。

以前、江原啓之さんの『オーラの泉』が流行りました。
その前も細木数子さんや宜保愛子さんなどスピリチュアルブームはたびたび訪れます。
しかし彼らを見るたびに私は考えてしまいます。
霊能者の子供はどう思って育つのかを。

私は代々霊が見える家系に育ち、しかもその中で唯一霊が見えない劣等生でした。
そのため親は焦って私を「教育」しました。
水晶を見つめ、除霊され、縁ある霊能者からご宣託を受ける日々。
母は仕事とスピの両立に忙しく家に帰れないため、私は親戚やお手伝いさんの家をたらいまわしになりました。
そして寂しさからかまって欲しいがあまり、よく熱を出す子供になりました。

そうするとますます「この子は呪われている」と除霊の対象になりました。
「名前が悪いんだ、この名前だと10歳で死ぬ」と言われ改名させられたことや、手に霊が憑いているからと火に突っ込まれたことも。

小学校に入ったころから、母を軽蔑するようになりました。
科学を否定して病気を「狐憑き」で済ませようとするなんて、私の話よりご宣託を優先する母なんて、私を愛してくれない母なんて許さない。

そこから私は勉強にのめり込み「成績のいい子」として社会適応を始めました。それがかえって自分を病ませることを知らずに……。

(次回に続く)

この経験から「たとえ今自分のことを好きでなくても自尊心を育てられるエクササイズ」を編み出しました。書籍『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』に掲載されていますのでどうぞご覧ください。

Text/トイアンナ