「きこえの悪さ」に惑わされてはいけない

ここで話を冒頭に戻しますが、後悔が全く残らないようにすることはできなかったとしても、少なくすることは出来ると私は考えます。そのためにあなたに心がけてほしいことは、きこえの悪さに戸惑わないことです。きこえの良さに左右されないと言い換えてもいいかもしれません。

同棲を始めてまもなく体を求めてこなくなった恋人。恋人がいる女性と浮気をするような男性。どちらも非難される要素を含んでいますが、あなた自身はそんなことを気にする必要はありません。正しさというのはある種野蛮な信仰で、いい加減な理由からでも幸せになるに越したことはないのです。正当な理由で不幸になってしまっては元も子もありません。

離れがたさに打ち勝てば、どちらでも大丈夫

ここで一冊の本を紹介したいと思います。フランソワーズ・サガンの『すばらしい雲』です。

このお話は、既に結婚している女性が主人公で、夫の嫉妬や妄想癖に悩まされているところに、かつて彼女に夢中だった男性が現れ、再び彼女に夢中になります。彼だったら夫といるときのような問題は起こらないと確信しながらも、女性は二人の間で揺れ続ける…という作品です。
具体的な解決策があるわけではないのですが、わだかまりに対しての心理描写が非常に多い作品なので、共感を得られる部分も多いのではないかと思います(*ちなみにこの作品は同作家の『一年ののち』の登場人物のその後のお話でもあるので、こちらも併せておすすめします)。

決断をするためには一度、相手のステータスや、自分に対して何をしてくれるのかということから目を離してみてはどうでしょう。
これから生活していく上で、自分が無理なく楽しく、刺激的に(刺激を求めないのであればフラットに)過ごせる相手を、欠点は欠点のまま愛することができれば…。
そして離れがたさや、離れた後の喪失感が派手なおまけとしてついてくるマリッジブルーにあなたが遅かれ早かれ打ち勝つことができれば、どちらと結婚したとしても良い日々を過ごすことができるのではないかと思います。