離婚に武士の情けは不要。必要なのは冷徹な話し合い
―読者の中にも知りたい人は多いと思うんですが、離婚とシングルマザーになることって人にどんな影響を与えますか?
家入:私思うんですけど、本来は離婚が人にほとんど影響を与えないのが理想だなって。結婚も離婚もさっとやってさっとできるのがいいなって。趣味でも仕事でも、ひとつのことをずっと続ける人ってそんなに多くないでしょ?
それなのに結婚だけはずっと1か所でって、難しいと思うんですよね。だけど、やっぱり離婚ってなにかと大変なんですよ。仕事も、住む家も、収入も。二人で助け合って生活していたのに、離婚したら急に一人でやっていかなきゃいけないわけで。だから、離婚によって大きな“なにか”を味わうことがないよううに、気軽にできるようになるのが本当は理想。
川崎:その流れでいうと、私が一番気になっているのが、シングルマザーの貧困ですね。
母子家庭の貧困率は5割を越え、就労による収入は平均181万円。両親揃ってる平均年収が400万円ですから相当な格差です。離婚した夫の2割しか養育費を払っていないんですから、そりゃ貧困になりますよね。愛情のなくなった男女が、さんざんケンカした後に“お金”っていうリアルな話をするのがイヤなのはわかるけれど、そこは女性側からしっかり話さなきゃダメ。
絶対に公正証書を作成して、裁判所を通して、協議離婚にはしないこと。そうじゃなきゃ、払わなくなったときに強制執行できないんだから。離婚するときは、子どもに対する夫の愛情を信じて「ちゃんと養育費を払ってくれる」と思うんだろうけれど、実際に8割の人が払っていないんですよ。だから、絶対に公正証書をまくこと。
家入:「まく」の重みがすごい!(笑) でも、約束したものを払わないんだから、ちゃんとした処罰がないとダメですよね。強制執行するにも手続きがすごく大変だし、払わないたびにできるものでもないから、止めの一発くらいにしか施行できないのも女性側に不利ですよね。
川崎:内容証明を送るのも、元夫の職場での信用を落とすような行為だしね。そういう、状況によっては悪になりきらなければいけなくなるのが離婚。
離婚するときに冷徹に話をして、女性側がレールを引かないと。「人間の血が流れた実の父親だから、ちゃんと払ってくれるだろう」なんて憶測は危険思想です。別れて他人になる相手なんだから、武士の情けは必要ありませんからちゃんと他人と交渉する気概で。
母子家庭の貧困がベースにある事件や問題を見聞きするたびに思います。結婚や出産でキャリアを手放さない事。そして、離婚するタイミングこそ弱っていてはダメ。母親は鬼のように強くならないと。自分の為じゃなく、子供の為に。
Text/千葉こころ