心がコントロールできないことを他人のせいにするな
こちらの男性Yは、わりと気の毒な生い立ちの人物で、ゆえに人間不信、見捨てられ不安のようなものがあったのか、恋人であるわたしが、外の世界で楽しそうにしていることに耐えられないタイプでした。仕舞には「あなたが『仕事が好き』というたびに、『お前なんて仕事の次だ』と言われているようで傷つく」とまで言うようになり、結末としては、その勝負――束縛したい彼vs束縛されたくないわたし――に疲弊しきって別れるに至りました。
しかし、いま思うと、そもそもまずったのは、こちらが勝負と見なしたことで、Yのほうも負けるものかと意固地になり、「あなたが『仕事が好き』というたびに、『お前なんて仕事の次だ』と言われているようで傷つく」なんていう無茶なカードを出してくる事態になってしまったことです。
そもそもが付き合う相手と勝負するということが、しんどい関係であることは間違いはなく、そして束縛したい人は「信用させてくれないあなたが悪い」などというけれど、自分の心がコントロールできないことを、他人のせいにするのはやり口が汚い。
とはいうものの、わたしのほうにも、ごくごく些細に見えることで嫉妬を燃やしてくる恋人に「愛されてる」「必要とされている」というような実感を強く抱いていたことも確かで、そういう意味ではわたしも彼の生きづらさに加担していたともいえる。
しかし、いま思うのは「彼と一緒にいた時期は人生で実りの少ない時期だった」ということなので、マジでいま、束縛彼に不満を持ちながらも「捨てられない」と思っている女性は、別れたほうがいいですよ。結局別れた後は、その期間がただの空虚にしかならない。
Text/大泉りか
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