ヤリチンが「牛丼はM屋派」の理由

というわけで、アヴァンチュールの翌日の朝ごはんは、ひとりでもふたりでも牛丼屋が強く推しなのですが、かつてヤリチンの男性に聞いたところ「俺もホテル後に牛丼を食べることはよくあるけど、その場合は必ずM屋に行く」と強く主張するのです。

そうか、この人は、メニューの豊富さを重視するほうなのか、それともカレーのファン? もしくは味噌汁がセットになっているところを評価してる?……と思いを巡らせていたところ、「だってM屋は入口の券売機で、券を買いますよね」という。
なるほど、確かにY家では混んでいる際、お会計を待たされることってしばしばあります。あの手持無沙汰なアイドリングタイムを避けたい気持ちもわからなくはない……などと考えを巡らせたのですが、すべて全くのハズレでした。

「M屋では、必ず連れの女性を前に並ばせるんですよ。だって、自分が先に並んだ場合って、一応は後ろの彼女に『何食べる?』って聞いて、一緒に買わないといけないじゃないですか。それを防ぐために『レディファーストで先にどうぞ!』と言って前に並ばせて先にチケットを買わせる。これが女性に奢らないためのコツなんです!」

わー! すごいなお前のそのセコさ! 女性と牛丼を食べる際に、Y家ではなくM屋をセレクトするのは、釣った魚にはM屋の牛丼すら奢りたくないというヤリチンの彼が生みだしたノウハウだったのです。しかし、もうちょっと別のところに頭を使ったほうがいいのではないだろうか。

Text/大泉りか