雨の休日はショッピングモールへ
外は雨。観たい映画や展覧会やイベントなど、室内で楽しめるレジャーは見つからない。けれど休みの日なので恋人や家族とどこかに出かけたい……そんなときに便利なのがショッピングモールではないでしょうか。
行ってぶらぶらしていれば、とりあえず時間はつぶれるし、併設しているアミューズメント施設で遊んでもいいし、トイレもあちこちにあって綺麗だし、お腹が空いたらレストラン街もフードコートもある。
というわけで、せっかくの連休なのに生憎の雨だった先日、家族でお台場にある某ショッピングモールへと出掛けることになりました。昼前に出発し、途中どこかでお昼ご飯を食べる計画でしたが、なんとなくタイミングを逃してお台場までついてしまい、食事を取れるような店はないかと車でぐるぐると回ったけれど、見当たらない。
いや、ショッピングモールの中に入ればレストラン街もフードコートもあることはわかっているのです。けれどレストラン街は混雑していることが想像できるし、フードコートは子連れとしては気楽だけれども、なんとなく気が乗らない……。
というのも、フードコートのご飯って、「これ、初めて食べた!」といった新鮮味や、「ビックリするくらい美味しい!」という驚きがないので、どうしても物足りないのです。老若男女が訪れるショッピングモールの胃袋は、万人に受け入れられる無難さが何よりも大切なのだろうと納得はできるのだけど、それならば、例えば松のやのロースかつ定食や博多天神のとんこつラーメンでも十分。ようするにショッピングセンター内のフードコートの食べ物は、それよりかは幾分かお値段が張るのに、「お腹がいっぱいになる」以上のプラスアルファがないのが、不満なのです。
フードコートの良さは好きなものを選べること
しかし、フードコートにしかない良さも、もちろんある。それは、和洋中をはじめとする数多くのジャンルの中から、自分で好きなものを選べること。
人と食事をするときに、何を食べたいかを擦り合わせるのってちょっと面倒くさいですが、フードコートならそれは必要ありません。相手がラーメンを食べているその前で海鮮丼をかっこんでもいいし、パスタと焼きそばの両方が食べたいのならば、それぞれにオーダーしてシェアするってことも可能です。
というわけで、お台場のショッピングモールを訪れたその日、オムライスとカレーが食べたいという夫と息子は洋食屋の列に、天丼の気分だったわたしは、ひとりで天丼屋の列に並びました。
天丼屋のメニューは3つで、900円の並天丼、980円の上天丼、それに1280円の江戸前天丼。並天丼のネタは「舞茸、しし唐、半熟卵、海苔、海老二本」ですが、上天丼になると舞茸の代わりにきすになり、さらに江戸前天丼(1200円)の場合は、きすや舞茸の代わりに穴子が一本と、いかと小柱のかき揚げという豪華版になります。
かき揚げを食べたいし、せっかくの休日ランチだし、江戸前天丼にしようか。でも穴子はなくてもいい。だったら並天丼にかき揚げをトッピングするという手もある……などと悩んでいると、背後から「わー、天丼、ボリュームあるなぁ」という関西弁の男性の声が。続けて「そうだね、美味しそう」という女性の相槌。振り返ると20代半ばの、初々しい雰囲気のカップルの姿がありました。
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