モラハラ男性と付き合っていた経験をコラムに書いたことがあるからか、モラハラ傾向のある男性と付き合っている女性から、相談を受けることがたまにあります。
かつて付き合ってたモラハラ男性のことを思い出すと、「なぜわたしは、あんなに毎日つらい思いをしながらも、さっさと別れなかったんだろう」と思うばかりですが、その最中は、いくら不満があっても、別れようとは思っていなかった。
だから、モラハラの恋人との関係に悩みながらも、「別れる」という選択肢を取らない/取れない気持ちはよくわかるし、一方で「別れようかと思っている」と言われても、あまり真に受けないようにしています。
できるのは、ただただ話を聞くことと、「その男、どうなのよ」と個人的な感想を口にすること、「一緒にいて、なんかいいことあるの?」「わたしなら別れるけどね」と背中を押すことくらい。それによって別れるか否かを決めるのは本人でしかない。
いくら「別れちゃいなよ」と勧め、本人がその気になっても、モラハラ彼への同情や共依存をどうやって断ち切るかという精神的な問題や、一緒に住んでいる場合は金銭面を含む、独立に伴う段取りなどの解決が必要になる。親身になって相談に乗ったところで、本当に強く決別する気がなければ、「やっぱり別れられない」と彼の元に戻ってしまうのです。
「彼も一緒に連れていってもいい?」
かつて女友達から「恋人に殴られる。相談に乗ってほしい」と助けを求められたことがありました。さすがに放っておけずに、彼女とそのモラハラ彼が一緒に住む町まで出向いたのですが、向かっている電車内で彼女からのメッセージがスマホに届きました。
内容を確認すると「彼が仕事からもうすぐ帰ってくるみたいで、ひとりでご飯を食べさせるのは可哀想だから、一緒に連れていってもいい?」と。「え? なんで。相談があって呼び出されたと思ったんだけど」と返すと「うーん、でも可哀想」。
モラハラ男の特徴のひとつに、女性と、その友人たちとの関係を断ち切って、孤立させることがあります。「俺、君の友達のあの人のこと、あんまり好きじゃないんだけど」と、恋人の女性が自発的に連絡を取らないようにさせる方法と、「友達と会うの? じゃあ、俺も連れていってよ」と嫌がっても無理やり、邪魔に入る方法。
恐ろしいのは、当のモラハラ男性からすると、彼女の友達が本当に嫌いであったり、反対に彼女の友達と親しくしたかったりもして、本人にはモラハラしている自覚なんてないところです。
けれども、彼女の友人関係にクチを出したりしゃしゃり出たりするのが、そもそも大間違いだし、結局のところ、前者であれ後者であれ、嫌だと断れば「なんで、俺の希望を無視するの? 俺のことを一番に好きなんじゃなかったの?」という理論でもって押し通そうとしてくるのだから、悪気はなかろうとモラハラはモラハラなのです。
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