キャラ物を与えなかった、わたしの母

そういえばわたしの母も、キャラ物は絶対に身に着けさせてくれませんでした。アニメのキャラの描かれたピンク色の靴が欲しくて何度も頼んでも、絶対に買ってもらえなかった。

それを思うと、なんとも複雑な気持ちです。いまアルバムを見返しても「こんな恰好してたのか……」と苦笑しないで済むトラッドな服装をさせてくれていたことに対する感謝と、キャラクターのついているものを着たかったわたしの意思を、尊重してもらえなかった悲しい気持ち。
育児は、ふとした出来事で「親としての理想」と「自分が子どもだった頃の想い」が相反するところが悩ましい。

けれども、わたしには「好きなことしかしない」というルールがあるのです。わたしはわたしの「好き」を優先するのだから、息子は息子の「好き」を優先するのが、わたしと息子が平等であることではないか。

というわけで、思い切ってドラえもんのベルクロ靴を買いました。
届いた靴を見て「ドラチャン! ドラチャン!」と喜んでいる息子に、「選択は正しかった」と確信したのはいいけれど、なんでベルクロのところに、わざわざどら焼きのモチーフなんてついてるのこの靴。

Text/大泉りか