親になっても変わらない
Kelsey Chance
産後、妻が抱きがちな不満のひとつが「夫がまったく生活を変えない」ということです。親になったというのに、それまでと同じように、好きなだけ仕事をして、好きなだけ飲みに行き、休日は好きなだけ寝る。
同じ親なのに、母親は不自由です。本当はしたい仕事をセーブし、本当は飲みに行きたくても断念し、本当は休日の朝くらい寝ていたくても、早起きして子どもを公園に連れていく。トイレに行く手間を惜しんで膀胱炎になり、お風呂は子どもが寝静まってから、もしも起きて泣いたらすぐに対応できるように浴室のドアは開けっ放しで入る。同じタイミングで親になったというのに、父親と母親で、なぜこんな違いが生まれるのでしょうか。
最初は夫が無責任なのだと思ったけれど、きっとそればかりではありません。たぶん、わたしもわたしで身構えすぎなのです。
我が身を振り返ると、ちょっと目を離すとうっかり死んでしまうのではないか、というくらいか弱い赤ちゃんを前にして、相当ナイーブになっていました。少し大きくなった今でも、「わたしに育てる責任がある」と気負いすぎている。これに関しては、自分でもまったくらしくないと思っているのに、なかなかどうにもならなかったのです。
だからこそわたしは、産後も仕事や外に飲みに行くことを続けると決めました。そうでないとますます「お母さん」であることにのめり込みすぎてしまいそうだと思ったからです。