アソコかくして顔隠さず?
いったいどうしたことかを尋ねると、先日、恋人のミニバンの中でカーセックスをしていた際に、覗きが現れたというのです。
覗きの存在に気が付いた彼女の恋人は、慌てて近くに隠せる毛布やタオルがないかを探したものの、あいにく見つからず、仕方なしに手の平で彼女の股間を覆い隠したそうなのですが、友人いわくそれが「信じられない!」という。
いや、股間を隠してもらって何が不満なのか。裸を見られそうになったら、普通、隠すのは、「一番大切なところ=股間」ですよね。しかし、彼女いわく、違うというのです。
「普通さ、隠してくれるなら、顔だよね!? もしも覗いたのが知り合いだったりしたら、『あいつ、カーセックスをしてたぜ』って、噂にされちゃうんだから!」
なるほど。
たしかに、顔を隠した状態で、性器だけを見られたところで、それが誰のものかはわからない。
「誰のものかわからないのならば、自分の名が貶められることはないから、見られてもいい」とする考え方には一理ある。
言われてみれば納得できます。
できるけど、わたしはやっぱり股間のほうが見られたくない。こうして、カーセックス覗き魔事件によって、わたし、女友達、そして彼女の恋人が考える「最初に隠すべき肉体の部位」の相違が明らかになったのです。
カーセックスで学んだこと
同じ女同士である友人とわたしでも、見知らぬ異性に見られたくない体のパーツは異なるし、恋人同士という絆でつながっている彼女とその恋人であっても、とっさにどこを守るべきかの判断はそれぞれで違う。
同じ立場や親密な関係にあっても、各々が考える「当然」は違うという当たり前のことを、わたしたちはつい、うっかり忘れてしまいがちです。
だから自分の「当然」が裏切られた時には腹が立つ。
けれど、自分にとっての「当然」は人の「当然」ではない可能性がある以上、それは責めるべきではないし、求めるのならばいちいち口に出して伝えなくてはならないのです。「股間ではなく顔を隠して欲しい」と言わないと、恋人はあなたの隠して欲しい場所など、わからない。
自分はなにをどう望むかを、きちんと考えて口で伝えること。「自分の当然は人の当然ではない」――隣町の覗き魔が、わたしに教えてくれたことです。
Text/大泉りか
次回は<私はどれほどの出会いを無駄にしてきたんだろう。教えてくれたのはエロ目的の友達申請?>です。
ある日、大泉りかさんの元に届いた、見知らぬ男性からのFacebookの友達申請。AM読者のみなさんも、経験したことがあるかもしれません。どうもアダルト目的だったようで、丁重にお断りした大泉さんですが、男性からの返信に書かれていたのは……?うざいメッセージから教わってしまった人生哲学です。
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