なぜ、乳首はあるのか?
そもそも、乳首とは、何のためにあるのでしょうか。
産後、母乳の蛇口になることは、理解しています。
しかし、ミルクを出さない乳房についている乳首の役割とはいったい…。
これまで、わたしが乳首を何に使ってきたかというと、セックスの相手に抓まれたり捏ねられたり吸われたりくらいしか使い道はありませんでした。
そう、わたしにとって乳首は、「快感を得るための性器」なのです。
その、セックスの時に弄られるために存在している乳首を、陣痛を起こすために弄れと?
そういえば、妊娠中の出産準備のひとつに「産後の授乳に向けて、乳首の手入れをしておく」というものがあるのですが、「乳頭を刺激しすぎると子宮が収縮して危険なので、乳頭はあまり刺激しないこと」という注意書きがあわせて記してありました。
また以前、射精しないオナニー、いわゆる「セルフドライオーガズム」を実行しているという男性にインタビューをしたことがあったのですが、氏いわく「射精しないオナニーに重要なのは前立腺刺激。そして、前立腺と乳首はつながっているので、乳首の刺激も大切です」と語っていました。
その時は何を言ってるのこの人と思いましたけど、男性の前立腺に「前立腺小室」と呼ばれる子宮の名残が存在することを考えると、乳首と子宮を結ぶ因果関係の解は、ひょっとして、ここにあるような…。
というか、ブログの続きに書いてあったんですけどね。
なんでも、乳首を刺激されることにより、脳内でオキシトシンが放出され、子宮収縮を促して陣痛が起きるというのです。
なるほど。乳首の隠れ存在意義…発見です。
蛇口としての機能を持つ乳首
そうとわかれば、ひたすた乳首を弄るのみ。
しかし、カーテンで仕切られているとはいえ、大部屋の病室のベッドで乳首をコリコリと捏ねていると、なんとなく罪悪感が生まれてきます。
だって、これまでずっと、乳首はセックスの時に快感を得るためにある性器だったのですから。
どこからともなく聞こえてくる新生児の声に心を掻き乱されつつ、しばらくは乳首を弄り続けたものの、陣痛は起こることなく、結局、その日は出産を断念して退院することになってしまいました。
それから、年をまたいでたっぷり二週間経った後、ようやくのこと出産となりました。
生まれたのは2628gの男の子。無事に出し終えてほっとしたのも束の間、その夜から授乳が開始されました。
目まぐるしい展開に「母乳って、そんなに突然、出るもんなの?」という疑問が浮かびましたが、助産師からは「とにかく吸わせてください」としか返ってきません。
仕方なくその通りに赤ちゃんの口に含ませてみたところ、ちゃんと吸い上げるのです。性器が蛇口になった!
乳首が、性の喜びを得るためにある器官だと思い込んでいたのは、男性が弄ってなぶって吸いつくからです。
けれど、いまは赤ん坊がミルクをすするためにある…。
これまで「女」としての役割しか持たされていなかった身体に、否応なく「母」という責が圧し掛かってきたことをわたしは、乳首によって知らしめられたのでした。
Text/大泉りか
次回は <年齢も職業も嘘だった!?「自分を偽る男」を好きになってしまったとき>です。
大泉りかさんが昔仲良くしていた女友達には、テレビ局に勤める6歳年上の彼氏がいました。実際会ってみると、ずいぶん落ち着いた…いや老けた印象のある彼氏。それもそのはず、後から判明したところによれば歳をサバ読んでいたのです。嘘をつく男の理論、そして嘘をつく男を許す女の理論とは……?
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