絶対に大学では教えてくれない就職先

しかし、幸運にもわたしは東京の出身でした。自宅は一応都内にあり、父親がローンで買った一軒家は間取りに余裕があって、わたしの部屋もあります。もしも地方出身者で、なおかつ、東京で暮らし続けたいと思ったら、なんとしてでも就職を決めなくてはなりませんが、わたしには、東京にいられなくなるという心配はない。

そう考えると「まぁ、なんとかなるでしょ」と楽観的に考えて、両親の手前、一応は就活に勤しんでいるフリをしつつ、キャバクラのバイトに復活し、それと平行してSMショーにも出演し、さらに夏休みはひと月半、バックパックを背負ってヨーロッパ一周に出掛けたりと、最後となる、気楽な学生生活を謳歌していたのです。

しかし、夏が終わると、いよいよ状況の差し迫った様相を帯びてきました。友人たちは、次々と内定をもらっていくし、そうでないコたちは必死にOG訪問やら会社説明会とやらに足繁く通っています。「昨晩のショーで、初めて吊られちゃった!」なんて浮ついているのはわたしだけです。

ある時、ふと不安に襲われ、組んでいた縄師の方に「わたし、大学四年なんですけど、就職決まらないんですよね……」と相談を持ち掛けたところ「うーん、ストリッパーなんてどう? 一日2万くらいは稼げるよ。紹介してあげるから言って」大学の求人案内には絶対に載っていない就職先を提示してくださり「ああ、そんな手もあるし、しかも、そんなに稼げるのか!」と感動を覚えたわたしは、それから、会う人、会う人に、「わたし、大学四年なんですけど、就職が決まらないんですよね!なんか仕事ないですかね。ちなみにマスコミ志望です!」と相談することにしました。