アラフォーの悩み

 さすがは遊び慣れているのか気張らない雰囲気を作るのも上手で、わたしのほうも、いつもの自己主張は抑えて、感じのよい話し方を心掛けて、相手を自然と立てるようなトークで対応が出来ていたと思う。

 途中でさらっと「結婚は?」と尋ねられ、ここで嘘をついても仕方ないと思い、

「してますよ」

 とふんわりと言ってのけたところ返ってきたのは

「そうなんだ、まぁ、僕はそっちのほうが都合がいいけどね」

 というセリフだった。おお、話が早い、早すぎる。けど、なんだか夢がない、トキメキがない、悦びがない。しかし、わたしはこの男を「もう一度話したい相手」として選んだのは、いくら話したところで、夢もトキメキも悦びも感じそうにない、どうでもいい相手だったからだ。

 というのも、いつからか、若くて独身の男性と話していると申し訳なさばかりが先に立つ。せっかくお金を払っているのだから、既婚のババアと無駄話するよりも、若くて可愛い子と話したほうがいいのではないかと腰が引けてしまう。
卑屈か卑屈ではないか、と言われると、わたしは卑屈ではないタイプだけれども、若い男子を前にした時はやはり卑屈がちらりと顔を出す。そういう気持ちになりたくないためにわざわざ、どうでもいい相手を選んでしまう。
そんなどうてもいい男に“後腐れのなさそうな女”と認定されたことで、それまた「違う!」と思ってしまう。

 どうしようもない話です。

 でも、アラフォー女にはアラフォーゆえの悩みがある、と思った夜だった。

…次回は《自分とはセックスしてくれない彼…外に関係を求めた結末は?》をお届けします。

Text/大泉りか