血縁なんて関係ない「愛する」ということ

 後半にクローズアップされるテーマが「血縁の無い親子愛」です。

 登場人物の一人に血縁のない父親がいます。しかし血縁がなくとも妻の子に愛情持って、時に厳しく時に優しく、時に強制し、時に尊重して接していきます。「血が繋がってればもっと…」と不安を吐露するのも、愛しているからこそ。

柳下修平 愛を積むひと 死 覚悟 映 2015「愛を積むひと」製作委員会

「血の繋がっていない子どもを愛することはできるのか?」

 という命題に対して、

「そんなのできるに決まってる」

 と行動で示しているのです。

 そして、さらに後半へ進むに連れ、その命題は故意的に存在感を増していきますが、同時にその答えは映画の前半で既に出ていたことに気付かされます。

 映画の前半は夫婦の愛ある物語です。冷静に考えれば、子どもと血は繋がっているものの、夫婦の血は繋がっていませんよね。

 しかしその男女は、(血の繋がりがなくても)愛し合い、結婚し、永遠を誓って夫婦となるのです。その愛は永遠に続かないこともありますが、映画の佐藤浩市と樋口可南子演じる夫婦は、死という別れを経験しても夫は妻への愛を失わずにいるのです。